パパママともに仕事をしながらの育児は何かと大変。そんな時、子どもを安心して任せられるのは両親だろう。年々、親の近くに住み替える「近居」が増えてきている。両親にも子育てに参加してもらうことが可能になり、逆に老齢になった両親にとっても子ども夫婦の家が近いと心強いという、双方にメリットがある「近居」。しかし、近くにいるからこそのトラブルもあるようだ。実際に近居をしている4人のパパ、ママは、そんな時、どう対応しているのだろうか?座談会の前編「本当に便利?『近居』を選んだ家族の本音」もお読み下さい。

【座談会参加者プロフィール】
◆モデレーター
棒田明子さん:NPO法人孫育て・ニッポン理事長、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事。産後ママのサポートを3週間から3カ月に延ばす「3・3産後サポートプロジェクト」リーダー。「母親が一人で子育てを担うのではなく、家族、地域、社会で子どもを育てよう」をミッションに、全国にて講演、プロジェクトを行っている。東京都北区多世代コミュニティー「いろむすびカフェ」アドバイザー。著書、共著に『祖父母に孫をあずける賢い100の方法』(岩崎書店)、『ママとパパも喜ぶ いまどきの幸せ孫育て』(家の光出版)。
◆参加者
Cママ:自営業。中3の長男、中2の長女という年子のママ。離婚後、シングルマザーとして奮闘し、最近再婚した。
Tママ:インターネット情報サイト企業勤務。3歳の長女がおり、育休復帰2年目。夫も育児に協力的。
Yパパ:大手広告代理店勤務。4歳の長女、1歳の長男がいる2児のパパ。長男誕生の際は育児休暇を取得。妻は専業主婦。
Hパパ:出版社勤務。2歳の長女のパパ。妻は育児休暇中だが、近く職場復帰を検討中。

近くに住んでも、関係は一歩引いて。「近居」祖父母のトラブル回避

 実家まで歩いていける距離に住んでいるという4人のパパ、ママ。近くて親に子育てを手伝ってもらえるのはありがたいが、その関係性の近さからどうしても起こってしまうトラブルもあるという。どんな問題に直面しているのだろうか?

棒田明子さん(以下、敬称略) みなさん毎週末のようにご両親と会うことがあると思いますが、近いゆえのトラブルというのはありますか?

座談会はさらに盛り上がりを見せ、「なるほど!」な意見が活発に飛び交う
座談会はさらに盛り上がりを見せ、「なるほど!」な意見が活発に飛び交う

Hパパ 近いのは妻の実家ですが、かえって実の親子だからこそ、妻と義母(妻の実母)の関係が難しいことも最初はありました。例えば、子どものおやつ問題。うちではまだ食べさせていなかったチョコやグミを、遊びに行ったときに義母があげちゃったりするんですよね。もちろん娘は喜びますが、妻としては『うちではあげてないのに!』とイラッとするようで、それを伝えるのが難しい時期もありました。

Tママ そう、自動販売機とかもいつの間にか覚えちゃってるんですよね。父に預けたときにジュースを買い与えたりしているみたいで、私といるときも欲しがって困りました。

棒田 孫が喜ぶ顔が見たいばかりにお菓子やジュースなど甘いものを買い与えてしまうのは、“祖父母あるある”ですよね。どうやって解決しているのですか?

Hパパ とりあえずは妻の気持ちを聞いて落ち着かせたら、あとは妻が『うちではまだあんまり食べさせてないから』とやんわり伝えるようになりました。もちろんそれでも食べさせちゃうことはまだまだありますけど(笑)、面倒見てもらっているし甘んじて受け入れるしかないですよね。

Cママ うちも子どもが小さいときはありましたよ。でも、おばあちゃんちだから食べられる特別なもの、っていうのがあってもいいかなと考えるようにしました。おじいちゃんおばあちゃんも、孫がかわいくてあげたくなっちゃうんですよね。

棒田 先輩ママからいいアドバイスですね。おじいちゃんやおばあちゃんの家のときだけ“特別ルール”があるのも、子どもは楽しみですよね。

祖父母にも子どもにも、やんわりと声かけするのが「○」。祖父母も孫がかわいいからこそなので、祖父母の家に行くときだけの「特別ルール」として、気持ちの上で譲り合うこともうまく近居していく秘訣
祖父母にも子どもにも、やんわりと声かけするのが「○」。祖父母も孫がかわいいからこそなので、祖父母の家に行くときだけの「特別ルール」として、気持ちの上で譲り合うこともうまく近居していく秘訣