今や一戸建てだけでなく、マンションでもペットのいる暮らしが珍しいものではなくなった。だが、住む人にもペットにも心地よい住まいであるためには、家づくりにも工夫が求められるという。子育て中の共働き世帯に向けて、ペットが子どもに与える影響、ペットと暮らす家づくりの知恵や、子育てと両立させるためのポイントを伺った。

ペットは情操教育に効果的。特に猫は仕事の疲れを癒やしてくれる

 子どもには小さなころから動物に親しんでほしい、動物と接することで多くのことを学んでほしい──そう願う親は少なくないだろう。ペットの代表といえば犬と猫。もし子育て中のDUAL世代がペットを飼うとしたら、犬と猫とどちらがいいのだろうか。積水ハウス総合住宅研究所の河崎由美子課長によると、犬と猫、それぞれに特徴が異なるという。

 子どもの情操教育という点から考えると「どちらかというと犬がオススメ」だという。「人になついてくれる犬が、子どもの情操教育には効果的だと思います。個体差はありますが、犬と比べると猫は飼い主と距離を置きがちですから、子どもたちには物足りないかもしれません」

「猫を飼うメリットはむしろ親に多いのでは」と河崎さんは言う。「見ているだけでも和める猫は、仕事や子育てに忙しい親自身の癒やしに役立つといえるかもしれません」

 子どもが小さなときにペットと暮らすことはどんなメリットがあるのだろう。

「家の中に生き物がいると子どもにとってはよい観察対象になりますし、自分の自由でコントロールできない生き物は、ある意味、“他者”との暮らしになるので、社会性も身に付くでしょう。ものを出しておくと荒らされることもあるので、自然と片付けることの大切さも学べるでしょう」(河崎さん)

 ただ、ペットを飼う場合は、人間だけでなくペットのものも増えるので、注意が必要になる。
「特に犬の場合はドッグフードやトイレシートだけでなく、最近は衣類や小物をたくさん持っているケースが多いので、収納場所はきちんと確保することが大切です」と河崎さんはアドバイスする。

 猫でも犬でも、子育てと両立させながら人にもペットにも心地よい住まいを実現するには、家づくりの段階からよく考えてプランを練ることが大切といえそうだ。

 そこで、今回は猫を優先に家づくりを行ったという千葉県木更津市の石井さんのお宅に伺い、ペットと共存できる家づくりのヒントを探った。

室内は「猫の姿が映えるように」と家中を白で統一したという
室内は「猫の姿が映えるように」と家中を白で統一したという