3.イエス? ノー?どっち? と迫られたら「二分法の罠」!
迫られると焦って合意しそうになります。でもちょっと待ってください! 交渉のゴールは「合意」ではありません。両者の利益の最大化です。相手が二分法できたら、できる、できない、という二分法で返すのではなく、他の人の協力があればできる、とか、期間がいつまでならできる、とできる条件を考えて、返事は最後にしましょう。通常、二分法とは無意識的に相手を「合意バイアス」にかけたいときに使います。かけられた側が合意しない権利を持っていることを認識するだけで、不本意な合意を妨げることができますし、かける側の強引な交渉の抑止力にもなります。
二分法はW−L交渉です。交渉スキル上級者が二分法の効果を十分知ったうえで使うのであれば、有利な交渉を進めることができるでしょう。しかし効果を知らずに使い続けると、交渉する人と交渉される人の関係は必ず悪化します。二分法の罠は使う際も、使われる際にも注意が必要です。
ところで、二分法で聞かれて困るときは「できない」ときですよね。でも「できません」と答えるのは、相手の反応を考えるとなかなか難しい……そんなときは代替案を出すことで上手に断ることができます。
ポイントは、①自分の事情だけを説明しない。相手の要求に応える案を出す。②全否定はせずに、部分的にでも受け入れられるポイントを探す。③合意できなくても自分は相手の味方であることを伝える。そして、④むやみに謝ってはいけない!です。
復帰者は勤務時間に制約がある場合が多く、断らないといけないシーンも多いでしょう。単に断るのではなく、断るときも会社に対する貢献意欲を見せることで、相手の味方であることが伝わります。会社の上司、同僚は 今後もあなたのキャリアを共に支えてくれる職場のパートナーです。日ごろからW−Wな断り方をすることをぜひ心がけてみてくださいね。