こんにちは、とけいじ千絵です。私は、「審食美眼(=食に対する審美眼)を磨き、彩りある食生活を」をモットーに、小さな子どもを持つパパ・ママ向けに講座を開いたり、フードアナリストとして企業の商品開発のお手伝いや執筆活動をしたりするなど、「食育」に携わっています。

 連載3回目の今回は、「料理レシピはそのままで、子どもの好き嫌いを減らす方法」についてお話ししたいと思います。

「おいしい!」には様々な要素が関係している

 私の講座には、好き嫌いの多いお子さんを持つお母さんがたくさんいらっしゃいます。皆さんとても勉強熱心で、例えば、お肉が嫌いな子どものためにいかにかみ切りやすい肉料理を作るか、苦手な野菜の味を和らげる調理法は、などと料理のレシピをたくさん工夫されていらっしゃいます。

 ですが、下のチャートを見てください。これは、人が食事をしたときに「おいしいと感じる要素」を客観的にチャート化したものです。

(<a href="http://www.mikaku.jp/outline/component.html" target="_blank">「味香り戦略研究所」</a>のサイトページを参考に、とけいじ千絵さん作成)
「味香り戦略研究所」のサイトページを参考に、とけいじ千絵さん作成)

 これを見ると、人が何かをおいしいと感じるのには、食べているものの「味」「温度」「匂い」「食感」など、目の前の料理の要素がたくさん関係していることが分かります。しかし、その料理は、おいしさにとってのすべてではなく、料理以外にも様々な要素が関わってきます。

 「おいしい」と感じるためには、料理以外の要素、例えば、食べる人の健康状態や疲労感などの「生理的状態」、喜怒哀楽や緊張状態などの「心理的状態」、さらには、食べる場所、時間、天候などの「環境」などもとても重要な要素です。

 これらの様々な情報が感覚器官から脳に入って、それが「おいしい!」を構成していきます。

 例えば、いつもと同じおにぎりでも、ピクニックに行った緑に溢れた大自然の中で食べるといつもよりおいしく感じるという経験、緊張していておいしいはずの料理が全くおいしく感じられなかったなどという経験は、皆さんもしたことがあると思います。