氷のテーブルでそうめんを食べる楽しさは忘れない
―― お父さんは本当にクリエーティブな方なんですね。雅姫さんの書籍でもその腕前を披露されていますよね。物作りが大好きで、絵が上手で…。
雅姫 父は暇があれば油絵を描いたり、仏像を彫ったりするような多趣味な人。私が母の誕生日にお花を贈ると、記念にそれを油絵に描いて残してくれたりします。私が小さいころから、「ちょっとここに棚が欲しいなぁ」とか「この椅子壊れた!」なんて言うと、さっさと作ったり直したりしてくれました。
とても楽しかった思い出の一つに、父が作ってくれた氷のテーブルがあります。魚屋さんで魚を並べるような厚い氷の塊を氷屋さんに届けてもらって庭に置き、テーブルにしてみんなでお昼を食べたのです。父が氷に穴を掘り、そこにそうめんやお豆腐、薬味のねぎやしょうがを入れて、私と姉はキャーキャー声を上げて喜びました。氷の穴に入れたそうめんはキンキンに冷えておいしいし、みんなで氷のテーブルを囲むということでもう、ワクワクしました。
実は、娘のゆららが小さいときも、父は氷のテーブルを再現してくれました。孫のためにはさらにサービスがあって、母と私が後片付けをしていたら、父はさっきまでテーブルだった四角い氷の塊を削って、かたつむりの形に! ゆららは大喜びでした。
確かに、私は母や父から、自然や季節感を大切に日々を丁寧に生きること、そして暮らしにちょっと遊びを取り入れて楽しむことを学んだのかもしれません。
――続く次回の記事「雅姫 保育園が見つからず涙した多忙な日々」では、母となった雅姫さんが、どのようにキャリアと子育てを両立させたのか。アドバイスなどを伺います。
(文/高橋京子 写真/坂齋清 編集協力/Integra Software Services)