忙しい母のタイミングを見計らって…

―― お母さんに甘えたいな、と思ったときはどうしましたか?

雅姫 うまくタイミングを見ては、膝枕で耳かきをしてもらいました。母は、夕食の片付けや洗濯物を畳むのを終えて、テレビで「火曜サスペンス劇場」を見る時間あたりが一番リラックスしている。そういうときに、膝枕で耳かきをしてもらうのが好きでした。母の膝の上に頭をのせていると落ち着くので、中学生になるくらいまでそうやって甘えていたかもしれませんね。「火曜サスペンス劇場」で男女が絡むようなシーンが出てきたりすると、寝たふりをして気を使ったりとかもしました(笑)。

お母さんにおんぶしてもらっている雅姫さん
お母さんにおんぶしてもらっている雅姫さん

 小さいころは、母の夕飯の買い物についていって、おまけ付きのお菓子を買ってもらうのも楽しみでした。母は必ず取っ手のあるカゴを持っていて、大きな財布をポンと入れて、出かける。家にも違うカゴがたくさんあって、野菜をストックしてあったり、庭で摘んだ草花を飾ってあったり。私がカゴ好きなのは、子どものころのそんな母の姿が影響しているのかもしれません。

―― 雅姫さんといえば、心地よいライフスタイルを送るためのアイテムやアイデアをまとめた書籍も人気ですが、やはり育った環境からの影響も大きいのですね。

雅姫 そうですね。母は今の私のように、季節の草花を家に飾るのが好きでした。今も実家の廊下には、母のディスプレーを楽しむコーナーがあって、お正月や桃の節句、七夕、お月見など、その時々に趣向を凝らした花や野草などを飾っています。その母も、父に感性を磨かれたのだと思います。

 高校を卒業して、秋田から上京するまでは気づきませんでしたが、私の家族は本当に自然に寄り添う暮らしをしていましたね。そしてその経験が、今の私の暮らしのヒントや原点になっているのだと思います。