皆さん、こんにちは。株式会社子育て支援の代表取締役、熊野英一です。このコラムでは、アドラー心理学をベースに「自分を<勇気づける>ことの大切さ」と「他者を<勇気づける>ことの素晴らしさ」をお伝えしています。

 「三つ子の魂百まで」――「幼いころの性格は、年を取っても変わらない」という意味のことわざを、皆さんも良くご存知と思います。今回のコラムは、2016年1月中旬発売予定の私の著作『アドラー・子育て 親育てシリーズ 第1巻 育自の教科書 ~父母が学べば、子どもは伸びる~』(アルテ刊)でお伝えしている内容を再編して、「三つ子の魂百まで」のウソ・ホント、について考えていきます。

10歳までに性格は決まるが、勇気があればいつでも変えられる

 「あなたの性格は、あなたに勇気がありさえすれば、今すぐに変えられる」と言われたら、どう反応しますか? 「まさか!そんなに簡単に性格なんて変わらないよ!」という方が大多数でしょうか? それとも「待てよ。確かにウチのダンナ、結婚前はあんなに優しかったのに、今はまるで別人!」なんて思っているでしょうか(笑)?

 一般的には「性格」とか「人格」と呼ばれるものを、アドラー心理学では「ライフスタイル」と呼んでいます。その人らしい「思考のクセ」や「行動のパターン」の総称で、次の3つの要素から構成されるその人の信念の体系を指します。

 1:自己概念=自分自身の現状をどうみなしているか。 「私は~である」
 2:世界像=周囲の人・人生の現状をどう見ているか。「世界(人生、人々は)~である」
 3:自己理想=自分がどうありたいか。周囲の人からどう扱ってほしいか。「私は~であるべきだ」

 私達人間は、生まれてすぐにライフスタイルの形成を開始し、おおむね10歳までにライフスタイルを完成させます。ここまでくると、仮に多少の偏りがあることを感じたとしても、既に慣れ親しんだ思考のクセ、行動のパターンを変えるのは不安が伴います。だから、自分のライフスタイルが気に入らなくても、あえて、主体的な意思を持って(ほとんど無意識的にですが)それを変えないように努力するのです。従って、「三つ子の魂百まで」は、ある意味「ホント」といえるでしょう。

 一方、上記の説明のうち、私達は「自分の意思でライフスタイルを形成し、自分の意思でそれを維持しようとしている」という点に注目してください。もちろん、ライフスタイルの形成に当たっては、その人の生育環境や先天的・身体的な諸条件、親からの遺伝などが影響していることは確かでしょう。しかし、それでもなお、アドラーは「重要なことは、人が何を持って生まれたかではなく、与えられたものをどう使いこなすかである」と言っています。

 性格(ライフスタイル)は、変えることができます。なぜなら、性格(ライフスタイル)を変えるということは、その人の人格的特性を取り替えることや過去の外部からの影響を消すことではなく、その特性のより良い使い方を学び、上手に使いこなせるようになることだからです。その意味で、「三つ子の魂百まで」は「ウソ」ともいえるのではないでしょうか。

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  • 人間は、事実を客観的に把握することは不可能
  • 自分の価値観はしょせん、主観的な認知のゆがみの産物

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