利用登録が最も多いのは、年末と1月、3月

―― 新宿区の場合、ファミリー・サポートを利用したいと思ったときに最初にすることは何ですか?

山口 通常、約1時間の説明会に参加していただきます。そこで利用会員の登録ができます。

―― 特に混み合う時期はありますか?

山口 登録数が最も多いのは、年末と1月、そして、3月です。平日だけではなく、土曜日も説明会を行っています。

―― 説明会にどうしても参加できない場合はどうすればいいのでしょうか。

山口 その場合は、事務局への電話相談をおすすめしています。例えば、出産して間もなかったり、病気で入院中だったり、やむを得ず説明会場に出かけられないママに対しては、こちらから自宅や病院に訪問をして登録してもらったりしています。

―― 外出できないときも、無理せず登録できるのはありがたいですね。

山口 ええ、少しでも利用者の安心感につながるような活動を心がけています。地域の家庭支援センターや子育てひろばでも必要に合わせて説明会を行っているので、何か質問したいことがあったらまずは事務局に相談していただきたいですね。

―― 説明会では、どんなことに注意してお話をされていますか?

山口 まずは「どんなときに、どんなふうに利用できるか」について丁寧に説明をしています。

需要が最も高いのは、学童、塾の送迎のニーズ。昼寝や買い物なども

―― 利用内容について、具体的にはどんなことができるか教えてください。

山口 全体的に見て需要が高いのは、保育園の朝の送り、夕方の迎えとその後の預かりです。次にくるのは、小学3年生までの学童のお迎えで、いずれも利用会員の人が帰宅するまで、利用会員宅で一緒に食事をしたり(子どもの食事は基本的に利用会員が用意する)、一緒に遊んだり、宿題の見守りをしたりしながら過ごす場合が多いです。

 小学4年生になると、学童から塾までの送り、塾終了後の迎えと預かりなど利用会員から求められる内容が変わってきます。

 また、赤ちゃんがいる家庭では、親の病時に利用する人が多いですね。その他には、昼寝や親のリフレッシュのためなどです。「1時間から利用できますよ」と話すと、「仕事や病気以外でも利用できるんですね?」と、ほっとした表情をする人もいます。

 「お友達と食事に行くときだっていいし、ご夫婦の結婚記念日に何時間か外出するときにご利用いただいてもいいんですよ」と説明会で言うと、ママ達の表情がふっと柔らかくなりますね。

―― 乳幼児を育てているママなど、ゆっくり一人で昼寝をすることすら難しい人には特にうれしいですよね。その他にはどんな需要がありますか?

山口 例えば、双子の赤ちゃんを育てている家庭では、「座ってゆっくりごはんを食べたい」「お風呂にゆっくり入りたい」といった要望もあります。お話をする際は、利用会員の人がイメージしやすいように、「夜中の授乳で寝不足のとき、一時間だけでも昼寝をしたいと思うことあるでしょう?」と、具体例を挙げるなどしながら話すようにしています。

 また新宿区の特徴としては、昔からの住宅のほか、社宅が多い。転勤で区外から転入する人が多いこともあって、一時保育を利用できる保育園も充実しています。皆さん、保育園や幼稚園、小学校と合わせてファミリー・サポートを活用しているようです。

―― 新宿区では、子どもが18歳の誕生日前日まで利用できるそうですね。

山口 はい。その年ごろのお子さんがいる利用会員さんの中には、「提供会員さんの自宅が第二のわが家のような存在になっています」と言ってくださる人もいます。さらに、18歳まで利用できることで、親御さんには「安心して長く働ける」環境につながっていると感じてもらえているようです。うれしいですね。