親しき仲にも礼儀あり! すぐ真似できる、親との関係を良くする秘訣

棒田 子どもを迎えに行ってもらえたり、週末一緒にご飯を食べたり、いいことばかりの近居に聞こえますが、家族といえどもお互いが気持ち良く付き合っていくには、気遣いも大事ですよね。うまく付き合っていくために心がけていることはありますか?

Yパパ 私の中では“8割と2割”というのがキーワード。8割は親に甘えるけど、2割はその感謝を返すためにこちらが何かをしてあげるようにしています。『どんどん預けてくれ』と言うほど孫を溺愛している両親ですが、それでも感謝は大事ですよね。誕生日や敬老の日にプレゼントを用意したり、子どもに手紙を書かせたりします。週末に遊びに行くのを子どもも楽しみにしているので、遊びに行った後はその思い出を絵や手紙に描かせて次行くときに持って行ったり、写真をプリントしてプレゼントしたり。やはり感謝も孫経由だと、なおさら喜んでくれますよね。

<span style="font-weight: bold;color:#0000ff;">Yパパ</span>:大手広告代理店勤務。4歳の長女、1歳の長男がいる2児のパパ
Yパパ:大手広告代理店勤務。4歳の長女、1歳の長男がいる2児のパパ

Tママ 私も誕生日やクリスマスにこちらに来てもらってもてなしたり、感謝を口に出して伝えるようにしています。大人になると親に改めて『ありがとう』って言わなくなりますよね。子どもをお願いするようになって、ちゃんと伝えてないことに気づいたんです。改めて言うのは照れ臭いけど、『ありがとう』『いつもすごい助かってるよ』と声に出して言うようにしています。

棒田 声に出して言うってすごく大事ですよね。私も孫の面倒を見ている祖父母の方と話す機会がよくありますが、孫がかわいいからと体力的にも無理をしながら見ていらっしゃる方も多くいます。大人になると照れくさくて家族でちゃんと御礼って言えなかったりしますが、やっぱりここで改めて声に出すことってすごく大事ですよね。

Cママ 食事ひとつとっても、子どもが大きくなった今、子どもたちの食べる量も半端じゃないんです。ですから、仕事が遅くて夕飯をお願いするときは必ず食材を持っていきます。だって唐揚げだったら1.5kgも食べるんですよ(笑)。

Yパパ 1.5kgも! うちも子どもが大きくなったら、お願いしにくくなるのかな~。

Cママ 育ち盛りはすごいですよ~。少しでも母の負担を減らすために、カレーライスなど一品で栄養も取れてお腹が満たされるような料理をこちらから提案し、材料を持ってお願いします。もちろんそれ以外にも、母の好きそうなものなどを買っておいて『仕事でちょっと立ち寄ったら、いいものあったからさ』って言って自然に渡すようにしています。かしこまると母も気を使うので、あえて不定期にぱっと渡したりします。

棒田 かしこまらないで自然に渡すっていうところがいいですね。感謝の気持ちは絶対伝わっていますよ。

 感謝をきちんと言葉に出して伝える、ときには誕生日やクリスマスなどのイベントに呼んでもてなす、孫からも感謝を伝えさせる……。ここで挙がったいい関係を保つための“近居ルール”は、近居でない家庭にも参考になりそうなものばかりだ。

 親から遠くに住む人にはうらやましい近居だが、近くに住んでいる分、関係が悪化してしまうとどんどん緊迫するリスクとも隣り合わせ。遠ければ連絡を取らないで済んでしまうことも、近居ではしっかりと向き合っていかなければいけない。祖父母、親、孫という3世代が互いに日々の気遣いを怠らないからこそ、近くてもいい関係を保てていることが感じられた。これは、親が遠くに住んでいても真似したい、いい家族関係の秘訣かもしれない。

 次回(後編)は、そんな近居だからこそ直面したトラブル&解決策を、さらに掘り下げてお届けします。お楽しみに!

(文/岩辺みどり 写真/新山貴一)

 近居についてもっと詳しく知りたい方は、UR都市機構の特設サイト「近居というこれからの暮らし方」をご覧下さい。親世帯との同居・近居に関する意識・実態調査や識者のコラム、近居を選んだ家族の事例や動画など、近居についての最新情報が満載です。

 UR都市機構では、2世帯が同じUR賃貸住宅内または隣接するUR賃貸住宅間で近居を始めた場合、新しくUR賃貸住宅に入居する世帯の家賃を5年間5%割り引く「近居割」を2013年から展開しています。2015年9月には、UR賃貸住宅とUR以外の住宅との近居でも割引きになる「近居割ワイド」も始めました。詳しくは、こちらをご覧下さい。