サイドブラシは非搭載

 ルンバとの大きな違いとして挙げられるのが「サイドブラシの有無」と「吸引口の大きさ」だろう。発表会などでダイソンはこの2点を大きくアピールしていた。

 ルンバシリーズは、壁際などにあるゴミやホコリをかき取って中央部に引き寄せるサイドブラシを搭載している。ルンバシリーズは最新の980も含めて吸引口が本体幅に比べて狭いため、ゴミやホコリを中央部まで引き寄せるサイドブラシの存在は必要不可欠だ。

 しかしダイソンの場合、吸引口を本体幅いっぱいに広げたこと、そしてダイソンのサイクロン機構ならではの吸引力によって、「サイドブラシは不要」という結論に至った。不要なだけでなく「サイドブラシは、フロアの上のホコリやハウスダストを舞い上がらせるだけで、掃除をするうえで邪魔にしかならない」(前出のオルドレッド氏)とまで言うのだ。

ダイソン 360 Eye(左)とルンバ980(右)の本体幅と吸引口の幅の違い
ダイソン 360 Eye(左)とルンバ980(右)の本体幅と吸引口の幅の違い

上の画像を拡大したところ。ダイソンの場合は本体幅いっぱいに吸引口が広がっているのが分かる。サイドブラシは搭載していない
上の画像を拡大したところ。ダイソンの場合は本体幅いっぱいに吸引口が広がっているのが分かる。サイドブラシは搭載していない

ルンバの場合は、吸引口の幅が本体幅の半分くらいになっている。本体右側(写真では左側)にサイドブラシを搭載しているのが大きな特徴だ
ルンバの場合は、吸引口の幅が本体幅の半分くらいになっている。本体右側(写真では左側)にサイドブラシを搭載しているのが大きな特徴だ

 ただ、サイドブラシがない場合、どうしても気になるのは、「四角い部屋を丸く掃く」といった感じになるのではないかということだ。このあたりは、ある程度割り切りが必要になる。「部屋の角などホコリを取り切れない部分については、ダイソン V6 フラフィなどの掃除機を併用していただきたい」とダイソンの広報担当者は語っていた。

 「ルンバのサイドブラシは角まで届いても、吸引口が狭いので結局は取り切れない」とオルドレッド氏は言う。ダイソンは、サイドブラシが角まで届くことよりも、サイドブラシによって常時ホコリをまき散らしてしまう危険性のほうを問題視したようだ。

 実はこのあたりのルンバの機能に関して、筆者は実際にテストを行っている。

 テストの結果、ルンバ980のサイドブラシは見事に部屋の壁際にあるゴミ(を模した紙製のネコ砂)をかき取り、吸引するのを確認した。2002年から13年もロボット掃除機を作り続けてきたアイロボットの技術は確かなものだと感じた。

 しかし一方で、サイドブラシに抵抗を感じる人もいるのも事実のようだ。ある大型家電量販店の副店長によれば「空気清浄機などを活用して部屋の清潔さを追求するお客さんの場合、サイドブラシはホコリを舞い上がらせるからイヤだと拒絶する人も多い」という。

 「人が歩くだけでホコリが舞い上がるからそこまで神経質にならなくても」という考え方もあれば、「サイドブラシがあるだけでダメ」という考え方もある。後者のような考えを持つ人は、「吸引力が高くてサイドブラシがない」という点でダイソン 360 Eyeに引かれるようだ。