むしろ、妻には稼いでもらいたいと思う男性も少なくないだろう。

 先日、あるイベントで子どもを抱いた女性が「夫は私に働いて欲しいと半ば強制するんですが、無理強いされると仕事のモチベーションが保てません」と発言していたのだが、それはこれまで男性が妻たちからさんざん言われていたことだ。

 働け、稼げ、出世しろ。しかも彼らは「無理強いされるとモチベーションが保てないんだよね」と言うことは許されなかった。

男女のしんどさが似てきたこと自体は、悪くないよね

小4次男の友人が3人、泊りに来ました。我が家の2人と合わせて5人の男子が混沌の中で爆笑動画を見ている様子。葉っぱに付いた毛虫のようです。5人中4人がメッシのユニフォームを持っておりあちこち脱ぎ散らかすので、夫が5分おきに「これ誰のメッシ?」と確認する羽目に。
小4次男の友人が3人、泊りに来ました。我が家の2人と合わせて5人の男子が混沌の中で爆笑動画を見ている様子。葉っぱに付いた毛虫のようです。5人中4人がメッシのユニフォームを持っておりあちこち脱ぎ散らかすので、夫が5分おきに「これ誰のメッシ?」と確認する羽目に。

 だから女も我慢しろということではない。共働きが当たり前の社会になって、男女のしんどさが似てきたということは、一緒になって「働くのがこんなにしんどいっておかしくないですか。人間らしい働き方に変えたいんですけど」って言える当事者の数が増えたということだ。

 もちろん、男女の賃金格差や昇格の差別などが改善されず、いくら稼ぐ女になりたくても難しいという現実はある。そうした制度の不平等をなくすためにも「男の方が稼いでて当たり前だよね」というこれまでの「常識」を変えていかなきゃならないと思うのだ。

 さて「格差婚」。もしもいま私が離婚したら「やっぱり無職の夫に見切りをつけた」とか「旦那が居心地悪かったんだろう」とか書かれるのかもしれない。それも嫌だけど「夫が現地の富豪をゲット」とか「カフェで出会った20歳の留学生と駆け落ち」とか「駐在員人妻と泥沼不倫」とかの方がもっと嫌だ。

 記事としては後者の方がはるかに面白いが、さて実現可能性としてはどれが一番高いだろう……とか夜中に陰気な妄想をしている妻の後ろで、夫は安らかな寝息を立てている。隣のリビングには泊りに来た小4男子が3人で雑魚寝。

 明日は夫婦で、男子5人を連れてプールに行く。いろいろあるけど、ほんとに人生は体力勝負だ。



小島慶子 エッセイスト/タレント/東京大学大学院情報学環客員研究員/昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員
小島慶子 1972年オーストラリア生まれ。95年学習院大学卒業後、TBS入社。アナウンサーとしてテレビ、ラジオに出演。99年、第36回ギャラクシーDJパーソナリティ賞受賞。2010年に独立後は各メディア出演、講演、執筆など幅広く活動。14年、オーストラリア・パースに教育移住。連載、著書多数。詳しくはこちら。最新刊は『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP)

小島慶子のDUALな本音