むしろ、妻には稼いでもらいたいと思う男性も少なくないだろう。
先日、あるイベントで子どもを抱いた女性が「夫は私に働いて欲しいと半ば強制するんですが、無理強いされると仕事のモチベーションが保てません」と発言していたのだが、それはこれまで男性が妻たちからさんざん言われていたことだ。
働け、稼げ、出世しろ。しかも彼らは「無理強いされるとモチベーションが保てないんだよね」と言うことは許されなかった。
男女のしんどさが似てきたこと自体は、悪くないよね
だから女も我慢しろということではない。共働きが当たり前の社会になって、男女のしんどさが似てきたということは、一緒になって「働くのがこんなにしんどいっておかしくないですか。人間らしい働き方に変えたいんですけど」って言える当事者の数が増えたということだ。
もちろん、男女の賃金格差や昇格の差別などが改善されず、いくら稼ぐ女になりたくても難しいという現実はある。そうした制度の不平等をなくすためにも「男の方が稼いでて当たり前だよね」というこれまでの「常識」を変えていかなきゃならないと思うのだ。
さて「格差婚」。もしもいま私が離婚したら「やっぱり無職の夫に見切りをつけた」とか「旦那が居心地悪かったんだろう」とか書かれるのかもしれない。それも嫌だけど「夫が現地の富豪をゲット」とか「カフェで出会った20歳の留学生と駆け落ち」とか「駐在員人妻と泥沼不倫」とかの方がもっと嫌だ。
記事としては後者の方がはるかに面白いが、さて実現可能性としてはどれが一番高いだろう……とか夜中に陰気な妄想をしている妻の後ろで、夫は安らかな寝息を立てている。隣のリビングには泊りに来た小4男子が3人で雑魚寝。
明日は夫婦で、男子5人を連れてプールに行く。いろいろあるけど、ほんとに人生は体力勝負だ。
バックナンバー
小島慶子のDUALな本音
あなたにおすすめ
特集・連載
-
ひと・ヒト・人
「あの人にこれを聞きたい!」「あの人は今どうしてる?」――今、気になる人にインタビューをしました。
- NEW
- 57回/全85回
- ライフ
- 2024.04.25
-
「できれば1日家にいたい」岡野く仔
田舎で生まれ育った30代の漫画家が、仕事が軌道に乗り始めたことをきっかけに上京。あこがれのひとり暮らし、どんな東京生活が待っているのでしょう。真紀の上京物語をお楽しみください。
- 11回/全12回
- ライフ
- 2024.03.28
-
いきおいだけでいいかしら
テレビドラマや映画で印象深い役どころを数多く演じる一方で、エッセイストとしても活躍する俳優・小林聡美さんの新連載がスタートします! 10代の頃から華やかな世界に身を置きながらも、いついかなるときも浮かれることなく(?)自身のペースで着実に歩みを進めてきた小林さんですが、読者と同じく人生後半の生き方や働き方に思いをはせるお年ごろ。現在進行形の関心事や等身大の日常を軽やかにつづります。
- 2回/全3回
- ライフ
- 2024.03.08
-
小島慶子のARIAな一歩
日本で働き、オーストラリアで家族と過ごす「往復生活」をしている小島慶子さん。子育ても終盤にさしかかり、「これまでとは違う新たな一歩」を踏み出しつつある小島さんが、新たな気付きや挑戦を語っていきます。
- 57回/全85回
- ライフ
- 2024.03.01