手洗いは歌を1曲歌い終える時間を目安に

 インフルエンザの感染経路は、患者のせきやくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことによる飛沫感染と、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。患者がマスクをせずにくしゃみをすると、ウイルスを含んだ飛沫は4メートルくらい飛んで、落ちるといわれています。

●予防対策(1) うがい・手洗いは基本中の基本
 インフルエンザウイルスは水で簡単に洗い流せます。外出から帰ったときや食事の前には、手洗い・うがいを徹底しましょう。手洗いは歌を1曲歌い終えるくらいの時間をかけて丁寧に。

●予防対策(2) ワクチン接種

●予防対策(3) マスクを着用
 せきが出るときはマスクをしてください。隙間ができないよう、顔の大きさにフィットしたもので、ウイルスをブロックできる品質のものを選びましょう。
 しかし、健康な人がマスクをすることで、すべての飛沫を吸い込まないようにすることはできません。流行時期は人混みを避ける、症状が出ている人との接触を避ける、調子が悪いときは外出しないことも大切です。

●予防対策(4) 部屋を加湿する
 インフルエンザウイルスは低温・低湿度を好みます。部屋が加湿器などで加湿されていれば、ウイルスの活性を抑えることができます。最適な部屋の湿度は50~60%です。

 インフルエンザの症状は軽いものから重いものまで幅広いものです。必要以上に怖がることはありませんが、軽く考えるのも禁物。食事が取れていて、元気があれば心配はありません。

 とはいえ、目の前にいる子どもの様子をしっかり観察して「いつもと違う。何かおかしい」と感じたときは、ためらわず受診を。ご両親の勘を働かせてください。

杉原 桂
昭和大学医学部卒業後、千葉県こども病院新生児未熟児科、沖縄県立八重山病院小児科、国立病院機構相模原病院小児アレルギー科、多摩ガーデンクリニック院長などを経て、2015年4月にユアクリニックお茶の水を開院。子どものアレルギー疾患を専門にし、漢方治療や代替医療も取り入れている。日本小児科学会小児科専門医、日本小児科医会認定 子どもの心相談医、日本医師会認定産業医。

(取材・文/中島夕子 図版制作/コッコト)