ワクチンは11月末までに2回接種完了でしっかり備えを

 インフルエンザの流行時期は、その年によって多少前後するものの、12・1・2月の3カ月間が流行のピークです。A型の流行が先にきて、年明けにB型の流行がやってくる傾向があります。

過去3シーズンの定点受診者数の比較(2011/12シーズン~2013/14シーズン第10過)

(出典:国立感染症研究所)
(出典:国立感染症研究所)

 注射で打つタイプの不活化ワクチンの効果は約5カ月間持続します。12~2月の流行トップシーズンにしっかり備えるためには、なるべく10月中に1回目を、11月末までに2回目が終われば、12月中旬からは抗体価の増加が期待できます。

ワクチン接種の目的は「重症化を防ぐ」こと

 インフルエンザワクチンで感染を完全に抑えることはできませんが、ある程度の発症を抑えることはできます。ワクチンを接種していれば、感染してもウイルスの増殖にブレーキがかかるため、軽く済むことが多いのです。

 ワクチンの目的は「重症化を防ぐもの」と考えてください。重症化のリスクを減らせるワクチンは、打つべきだと私は考えています。

「インフルエンザ脳症」とは

極細針を採用する病院も増えている
極細針を採用する病院も増えている

 インフルエンザの感染にともなって起きる重い疾患で、主に5歳以下の乳幼児に発症、国内で年間100~200人が亡くなっています。特にアジア系の人はインフルエンザ脳症になりやすいといわれています。

 ある一定の割合で起きるもので、インフルエンザ脳症自体をワクチンで防ぐことはできませんが、脳症を引き起こすインフルエンザ罹患率を減らすという意味で、ワクチン接種は有効だと考えます。

発症後5日間ルールの徹底を!

 お子さんがインフルエンザにかかった場合の注意点をいくつかお話しします。

インフルエンザと疑われる症状が出たら…

 意識がはっきりしていて、比較的元気があれば、慌てて受診する必要はありません。インフルエンザのウイルス検査は、症状が出てから12時間程度経過してから行うのが最適です。これより早いと抗体が検出できないので、検査ができない場合があるのです。病院で受診の際は、他の人にうつさないよう、マスクを着用しましょう。

タミフルと異常行動に因果関係はなし

 タミフル、リレンザなどの抗インフルエンザ薬は、発熱から48時間以内に投与することでウイルスの増殖を抑えることができます。

 以前、タミフル投与後の異常行動のニュースが伝えられましたが、因果関係は確認できていません。異常行動は発熱によるものと考えられますが、お子さんからは目を離さないようにしましょう。

 高熱でつらいときにはタミフルと解熱剤を併用してもOKです。その場合、子どもにアスピリン系の解熱剤は禁忌です。

熱が下がってもウイルスの排出は続いている

 抗インフルエンザ薬を投与すると、比較的すぐに熱が下がり元気になりますが、ウイルスの排出は発症から1週間は続きます。保育園や学校に登園・登校するには、

「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで(幼児は3日)」

の条件を満たさなければなりません。

 発熱の翌日を1日目と数えます。発症した日から数えると、最短でも6日間の出席停止になります。この規準を徹底することで、集団生活でインフルエンザが広がることを防ぐことができます。