上記の評価の結果、上位5都市にランクインした自治体の子育て施設、支援・サービスの特徴を見ていきます。
1位の荒川区、高評価のポイントは?
荒川区は回答のあった81自治体全体でもトップでした。荒川区は0歳児クラスへの入園申請数における定員(充当率)は0.8程度と、やや足りていない状況でしたが、都認証保育所に通っている0歳児がいる家庭に最大6万円の差額補助をするなど、認可に入れなかった世帯への手厚い支援が目立ちました。また未就学児向けの子育てサービスでは多胎児に一時保育、ファミリーサポート、タクシー利用料などを助成する「ツインズサポート事業」や、新生児や3歳児に絵本を贈呈するサービスなどが用意されています。
荒川区は保育所増設にも力を入れています。同区によると認可園の定員は11年で約2000人増え2倍増。病児保育施設も現時点では2カ所ですが、2017年にはもう1カ所増やすことを計画しています。さらに荒川区は都市公園のなかに保育所を設立する準備を進めています。法律で都市公園内に保育所は設置できませんが、国家戦略特区による規制緩和を活用した珍しい取り組みです。子育て世帯の流入に積極的な姿勢も高評価でした。
ひとり親世帯へ家事や育児をするヘルパーを派遣してもらえる「ひとり親家庭サポート事業」、休養やレクリエーションのための宿泊施設を廉価で利用できる「ひとり親家庭休養ホーム事業」など、ひとり親世帯に対するサポートもしっかりそろっていました。
DUALでは以前、荒川区長にインタビューを実施しました。
■前編 荒川区長 「区政は区民を幸せにするシステム」
■後編 働き手が少ないから子どもを増やそうとは失礼な話
福生市は0歳児クラスの入りやすさ、保育所定員の余裕、ファミリーサポートセンター、シルバー人材センターなどの利用のしやすさ、病児保育、学童保育など、インフラ面が全体的に高得点でした。ただこれには全世帯における未就学児がいる子育て世帯の割合が6.9%と、他の市区の平均が8.5%であることと比較して低いことが影響しているかもしれません。
サービス面でも自治体オリジナルの制度に注力しています。市内200カ所近くの協賛店で割引サービスが受けられる「ふっさ子育てまるとくカード事業」などユニークな取り組みなどです。福生市は「昔から商業が盛んな街で市内にも多くの商店街があります。その特性を生かし、子育ての充実と商店街の活性化につなげています」とカード事業について説明しています。
千代田区の総人口は、近年増加を続けており、年少人口も増加傾向にあります。2012年は4566人だった0~11歳人口は、2019年には7495人に増えることが予測されています。(千代田区子ども・子育て会議の資料などによる)
そんな現状を反映してか、千代田区の0歳児クラスの入りやすさ(充当率)は0.56と調査自治体全体と比べても低いほうでした。運営する病児保育施設も「なし」と回答しています。しかし認可園の不足に対しては、認可外に通う0歳児への助成を最大5万4000円(年収700万円相当のモデル世帯の場合)にすることで対応したり、病児保育はベビーシッターなどの派遣費用を半額助成したりするなど、インフラ面で足りないところは他の方法で手厚く補う姿勢が感じられました。
また小学校6年生までの子どもがいる家庭に、子どもの一時保育や育児支援を割安で提供したり、高校生までの医療費助成があるなど広範囲でのサポートが整っていることが高評価でした。
なお同区では2015年春から、認可園に入れなかった子どもがベビーシッターを利用する場合、認可園と同じ保育料でシッターを利用できるようにする取り組みもスタートしました。
DUALでは以前、千代田区長にインタビューを実施しました。
■前編 千代田区長 「保育に欠ける」という言葉が気に入らない
■後編 千代田区長 認証保育所で柔軟な保育を