50歳の男性が今後10年でがんにかかる確率は6%

 次に、関心の高いがんを少し詳細に見ていきます。がんは、再発や通院などで継続的に費用がかかりがちです。高額療養費制度を適用しても、差額ベッド代などを含めた患者の負担は50万~100万円に達することも多くあります。このため、がんと診断されれば100万円程度の一時金が出るタイプのがん保険が人気です。

 こちらもやはり、データを知ったうえで検討しましょう。国立がん研究センターによると、50歳の男性が今後10年でがんにかかる確率は6%です(表F)。保険料が割安な、あるネット生保のがん10年定期で50歳男性が診断給付金100万円(手術給付金などはなし)で契約すると、保険料の総額は約21万円。がんになれば100万円受け取れますが、その確率は6%にしかすぎません。期待値(もらえる額×確率)は100万円×6%で6万円なので、払う金額を大きく下回り、確率からみれば損です。

 そもそも「保険が有効なのは、めったに起きないが、起きたときに経済的な損害が大きく、自力では対応できない場合」というのが保険理論の考え方です。子どもが小さいときの世帯主の死亡、自動車保険、火災保険などです。これらに備えて数千万円の保障を得るには、確率を度外視しても保険は必要でしょう。

 一方、冒頭の1件当たりの入院給付金給付額が10万円強であったように、医療・がん保険はもらえる場合でも数十万円から100万円程度が多いのです。それなら、用途が限られない貯蓄で備えるほうが合理的というのも一つの考え方です。保険に入る場合も、100万円超の自由に使える貯金ができれば、保険は卒業してもいいのではないでしょうか。

 もちろん手元にまとまったお金がない場合、がんなど費用が高額になることも多い疾病に保険で備えるのは選択肢です。その際は、保険料を抑えることを重視しましょう。例えば、がん保険。男性は60歳を超えると、がんにかかる確率が女性より高くなります。がん保険では保険料が男女とも同じ会社もあるので、男性ならそうした保険を選ぶほうが有利です。

(文/日本経済新聞社編集委員 田村正之)

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