入院日数が長期化するのは70歳代後半から

 平均入院日数も、一部の高齢者による超長期入院で押し上げられていますので、実態を知るために細かく見ていく必要があります。厚労省の「患者調査」で病気別に見てみると、がんで30日以上入院するのは患者の約15%、心筋梗塞などで約4%(グラフC)。がん患者のおよそ2人に1人は9日未満、心筋梗塞などは3日未満で退院するのです。

 病気や症状によっては、長期入院する場合もあります。例えば、脳梗塞で30日以上入院する人は、約45%います。このため、給付日数が原則無制限のがん保険だけでなく、最近は「脳梗塞などの脳卒中」「心筋梗塞」も含めた3大疾病であれば、日数無制限で給付するタイプも一部で登場しています。従来型に比べ保険料がそれほど高くない例もあるので、心配な人には選択肢でしょう。

 ただし、入院日数が長くなるのは高齢になってからという例がほとんど。例えば脳梗塞の入院日数が一気に長期化するのは70歳代後半から。医療情報の分析で知られる長浜バイオ大学の永田宏教授によると、40歳代前半の男性が1年間に脳梗塞で入院する確率は0.1%程度にしかすぎません。医療保険の勧誘の際に聞くことが多い「40代のご主人が脳梗塞になって1年半も入院して」というのはかなりまれなケースなのです。