市村家の親子観劇は「身構えずに、その瞬間を楽しむ」

――市村さんご自身も、親子観劇をなさいますか?

 しますよ。下の3歳の息子とは最近『ワンピース』(スーパー歌舞伎Ⅱ)や『アラジン』(ミュージカル)を観ましたし、小学生の上の息子とは帝国劇場で『SHOCK』(ジャニーズ)や堤真一君主演の『マクベス』(シェイクスピア劇)と、いろいろなものを観に行っています。

 子どもにとって観劇というのは、ショッキングなものだと思いますね。テレビや映画とは違って、目の前に生きてる人達がいて、色とりどりの照明のなかで演じているのですから。3歳の子も凝視して観ています。

 もちろんテレビやアニメ映画も面白いと思うけど、生というのは子どもにとって格別刺激的なのではないかと思います。その影響かどうかわからないけれど、子どもたちはよく観たものを真似て遊んでいますね。

舞台『スクルージ』稽古場にて
舞台『スクルージ』稽古場にて

――劇場に行きなれていない親御さんのなかには、身構えてしまう方もいらっしゃるかと思います。

 何か下調べしたりする必要なんてないと思います。僕もその瞬間を楽しんで観てますよ。勉強じゃないから楽しめばいいのであって、“ねばならない”というものは何もないと思うな。つまらなければつまらないでいいんだしね。うちの子どももつまらないときはやっぱり寝てます(笑)。大人が観て退屈なものは子どもにも見せません。逆に、歌舞伎でも面白い作品だと1時間でもずっと見ているし、内容もわかっています。

――お話をうかがっていると市村さん、お子様達との時間をとても大切にされているのですね。

 毎日いろいろな話をするし、上の子は学校の課題で毎日日記を書いて、それを親が読んで感想を書くことになっているのですが、妻(女優の篠原凉子さん)が忙しい時は僕が担当しています。逆にお父さんがいないときはお母さんがやる、という感じで、うちは(子育てについて)役割を限定していません。共働きだと自然とそういうふうになってきますね。自分の料理は自分で作るし、たまには子どもに料理を作ったりもしています。

――そんな市村家と同じ共働きのパパ・ママ達に、メッセージをいただけますか?

 共働きのお父さん・お母さん達は今、本当に忙しい思いをしていると思いますが、その忙しさはいつか、とてもいい思い出になると思います。夫婦でお互いに協力して、助け合いながら、理解しあいながら、いい思い出がたくさん作れる人生を送れるといいですよね。そういう意味でも、人生を見つめなおす内容の『スクルージ』のような舞台を観ると、いろいろな気づきがあるのではないでしょうか。

*公演情報*ミュージカル『スクルージ』2015年12月4~15日=赤坂ACTシアター http://hpot.jp

(取材・文・稽古場写真撮影=松島まり乃)