「聴こえない子は、聴こえる子よりも手がかかる。つきっきりでいないといけないから、できれば、専業主婦でいてほしいんです」と言われました。手がかかるのは日々実感しているので、「そういうものなんだな」「仕方がないな」と思い、仕事をしていなかった時期もありましたが、でも、私は自分が仕事をしないことが子どもへの愛情だとは思わなかったし、「愛情のかけ方や子どもとの向き合い方はお母さんそれぞれにあるはず。仕事をしていたって、きっと大丈夫!」と、復帰を決めました。
保育園で出会えた、偏見なく遊べる友達
「礼夢くんは、後ろから『おーい』と呼んでも聴こえないから、肩をとんとんとたたいてあげてね」
「ゆっくり話してあげてね」
保育園の先生達は、聴こえる子達にそう教えていました。子ども達も、ちゃんと礼夢の目の前に来て「あーそーぼー」と言ってくれる。
子どもには、偏見なんてありません。
聴こえる、聴こえないに関係なく接してくれるお友達と、礼夢は毎日楽しそうに過ごしていました。こうやって一緒に過ごすことで、障がいを持つ人への見方も変わるのかもしれないなと思ったものです。
本当はこの保育園にもっと通わせていたかったのですが、そのうち、以前お話したように、だんだんと私と礼夢との間のコミュニケーションが難しくなってしまいました。礼夢も、私に言いたいことが伝わらないもどかしさでかんしゃくを起こすようになり、私も、礼夢の気持ちが分からずうろたえてばかりで……(「今井絵理子 聞こえないことは恥ずかしいことじゃない」参照)。
さんざん悩んで、迷ったすえ、私は礼夢に手話を学ばせることにしました。
口話法を習っているとき、手話は禁止されていました。