「このミカンの段ボールに愛媛県って書いてあるね」

 「例えば、大手塾では4年生になると各地の特産物についての学習が始まります。そのときに、『愛媛県の特産物はミカンです』と教えられても、それがイメージできない子にはピンときません。でも、例えば、お母さんと八百屋さんに買い物に行ったときに、『このミカンの段ボールに愛媛県って書いてあるね。愛媛県はミカンがいっぱい取れるのかな?』などと声かけをしてあげると、授業中に『愛媛県の特産物はミカン』と出てきたとき、『あ、買い物に行ったとき、お母さんがそんなこと言っていたな』と思い出し、もっと話を聞いてみたいという興味につながります。この『興味を持って聞く』ことが大事なのです」

 「このように、社会はちょっと知っているか知っていないかで、興味の入口が全く変わってきます。子どもを社会好きにするには、できるだけ小さいうちから社会に対する興味の種をまいてあげることが大事です。例えば、家族で旅行に行くときは、必ず地図を持っていき、自分達が今どの県にいて、その県はどんな形をしていて、どんな文化や郷土料理があるかなどを話したり、実際にその料理を食べてみたりと、実体験を通して教えてあげられるといいですね」

 「また、歴史好きにさせてあげるには、歴史マンガや大河ドラマなどを見せると、人物像やその時代の背景がイメージしやすくなり、遠い昔の時代でも身近に感じることができるようになります」

 「社会が得意な子の多くには、大の歴史好きがいます。特に男の子に多いのですが、そういう子の中には、4年生の時点では地理になかなか興味を持てなかった子もいます。でも、『自分は歴史が得意だから、社会だけは誰にも負けたくない』という気持ちが強く、『社会を得意な科目にしたい』と思って、地理も頑張るようになる子もいます。このように、社会は興味さえ持てば、誰でも力を伸ばせる可能性が大きな教科なのです」

 では、大手塾での社会の授業は、どのように進められていくのでしょうか? 馬屋原先生に聞いてみました。