共働き世帯が子育てをしやすいカジュアルなワーク・スタイル

 そんな状態でも共働きが成立しやすいのは、アメリカならではのワーク・スタイルが理由の一つにある。シアトルのある西海岸は特にそうだが、アメリカではカジュアルな職場が多いので、日本と比べて融通も利きやすい。デイケアへの送迎は夫婦で出勤時間をずらし、行きは妻が送り、帰りは夫が迎えに行くというような連携プレーに。母乳育児をするワーキングママは、デイケアを職場近くに探し、2~3時間おきに授乳に抜け出したり、職場で搾乳して母乳を届けたりすることもある。

 子育て世帯に限らず、そもそも自由度のある働き方が浸透しているアメリカ。筆者の周りでも、夜明け前から働いて昼に帰ったり、1日8時間のところを10時間働いて週4日勤務、週休3日にしたりする人はもともと少なくない。また、子育てのためにと在宅勤務や時短勤務に切り替えるのも勤務先との交渉次第では可能となり、夫婦どちらかが家に毎日いられるよう、休日出勤と平日休みを調整して、お金のかかるデイケアの利用を回避する共働き世帯もある。

 また、シアトルはITが発達し、クラウド環境も整っている企業が多いため、職場にいる必要性がうすいということもあるだろう。日本と違ってサービス残業やアフター5の付き合いというものも存在しない。みんな、終業時間になればさっさと家に帰るので、帰宅後や週末は夫婦一緒に子育てに集中できる。女性に負担が集中しがちな日本から見れば、全く異なるカルチャーといえよう。

夕方の公園にはパパの姿がたくさん。その間にママは夕飯作り?
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