大学費用より高い! アメリカの中流家庭にのしかかる多額の保育料

 フルタイム勤務のアメリカ人を対象として行われた最近の調査では、63%が有給の産休・育休を取っておらず、取得率は3人に1人とこれまでの増加傾向から減少に転じた。取得した期間は、平均で女性が4.5週間、男性が2.3週間。つまり、世のアメリカ人女性達は有給休暇をもらえたとして平均約1カ月の超スピード職場復帰により仕事を続けている。

 アメリカの保育園は日本と違い、ほとんどが私立。地域によっては、ほぼ無料という公立もあるにはあるが、低所得者向けだったり、何らかの障害を抱える子どもが優先だったり。フルタイムでナニー(子育て&しつけをするベビーシッター)を雇い、教育やしつけ、簡単な家事もしてもらう家庭もあるが、保育園より高額となることから、医師や会社経営者などお金に余裕がなければ厳しい。よって、中流家庭で近所に頼れる親もいないとなると、デイケアと呼ばれるフルタイムの保育園に子どもを通わせるのが一般的だ。

 アメリカでは安かろう悪かろうは紛れもない事実で、実際に足を運ぶと、不潔だったり、保育士が足りていなかったりのデイケアは少なくない。虐待が報道されることもあり、慎重に選ぶ必要があるものの、治安が良く便利な場所にあり、施設がきれいで整っていて、教育に力を入れているようなところは、まず料金が高い。

 地域によって差はあるが、例えばシアトルは全米一高い水準の保育料となっており、都市部でそれなりの施設に生後6週間くらいから預けるとなると月2000ドル(約23万円)くらいのお金は軽々飛んでいく。0歳児が一番高く、子どもが大きくなるにつれ安くはなるものの、日本の保育園がフルタイムで預けても平均で月2万~3万円くらいで済むことを思えば、信じられないくらい高額だ。アメリカの公立大学の大半が年間100万円もかからないことを考えれば、大学費用をはるかに超える保育料の高さが尋常ではないことがお分かりいただけるはず。

 個人の家でやっているようなデイケアや教会系のデイケアはいくらか割安となるが、それでも月1000~1500ドル(約11~17万円)は見ておかなければならない。しかも、個人経営だと英語があまり通じなかったり、教会系だとその教会に妊娠中から通っておかないと優先順位が下がって入れなかったりと、アメリカでの保活は日本とは違った意味で一筋縄ではいかないのだ。

 そして、職場復帰してデイケア通いが始まるわけだが、アメリカの保育園には園バスはないので、送迎は常に自分達で行わなくてはならない。

知育に熱心なデイケアは当然値も張るが、人気は高い
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