スポーツ教室では、学校生活で必要な動きは身に付かない
「小学校を訪問して学習や給食、掃除をする場面を見ると、体の使い方の効率が悪く、不器用な子どもが多い」と笹田先生は指摘します。
「昔なら公園で木に登ったり、土手を駆け回ったりしていたのが、今は座りっぱなしでゲームをしたり本を読んだりしています。また、都市部を中心に祖父母と同居する世帯が少なく、姿勢を正す、服を畳む、箸の持ち方など、食事やマナーに関する知恵や学びを得る機会が少なくなりました」
「一方、サッカー、野球、水泳、体操などのスポーツ教室に通わせている傾向はかなり高くなっています。そのため、体力や筋力をつけるとか、逆上がりや水泳ができるなど、運動の技術を身に付けている子どもは多いです。その反面、ランドセルに物をきちんとしまう、限られた時間で体操着に着替えたり給食を食べたりする、といった日々の学校生活で必要な動きが身に付いていません。小学校入学前に、『技』ではなく、『体の上手な使い方』を身に付けてほしいですね」
単に運動ができる体ではなく、姿勢よく椅子に座り続ける、素早く立つ、上手にバランスを取る、指先を使うなど、基本の動きや姿勢を保つことができる体づくりが重要のようです。
早く書けない、書くのに疲れるという子どもは半数
基本の動きの中で特に気を付けたいのが、鉛筆の持ち方だそう。
「調査をしたところ、普通学級で正しく鉛筆を持てる子どもは2割しかいませんでした。一方、このままの持ち方を続けていると早く書けない、書くのに疲れると思われる子どもは半数近くいました」