疑問のある査定基準はクライアントに確認する

 MOSO 社は残念ながら赤字でした。しかし黒字が勝ち、赤字は負けというわけではありません。「大切なのは、たった一度の結果ではなく、その結果から何を学び取って次にどう生かすか」と藤川さん。社員達はぐるりと机を囲み、和崎さんから受け取った明細の内容を洗ってみることにしました。

 一人の社員が「会社ならではの工夫としてバスに写真を飾ったり、内装をがんばったのに。接客ボーナスに反映されていないよね?」とポツリ。納得がいかない時は、クライアントに真意を確認することも大切です。なぜなら、原因が分かれば、今後の改善点も明確になるから。そこでMOSO社を代表して、織戸社長が和崎さんのいる席に出向いていきます。

「査定の基準は、あくまでお客様が満足したかどうか」と切り出す和崎さん。どうやら今回の見学客は、バスの飾り付けは子ども達が特別にしたことだとは気づいていなかったよう。いつもその状態だと思ってしまったので、満足度につながらなかったのです。「でも、みんなのがんばりは私には伝わっています。だから実は、私(和崎さん)がどれだけ満足したかで判定できる特別ボーナスに加算しているんですよ」。その言葉を織戸社長が社員に伝えると、みんな納得したのか、曇っていた表情がパッと晴れました。

 今回、結果は赤字と黒字に分かれましたが「恣意的な操作はしていない」と藤川さん。

「全力で取り組んでいる子ども達の行いは、こちらも真摯に評価しなくてはいけません。怪しい評価があると、子ども達との信頼関係も崩れてしまいますから。良い評価も悪い評価も納得できる理由があることで、次に繋がっていくと思います」

和崎さんから説明を受けるMOSO社。しっかりと説明を受けることで改善点も明確になり、次回に繋げることができる
和崎さんから説明を受けるMOSO社。しっかりと説明を受けることで改善点も明確になり、次回に繋げることができる