④ 0時前には寝て「血」をしっかりと巡らせよう

 漢方では「血」は睡眠中に作られると考えられています。さらに、夜更かしをして体力を消耗すれば「血」はどんどん減るので、できれば22時までに、それが難しいなら0時までにはベッドに入り、7時間は睡眠を確保したいものです。

 パソコンやスマホを長時間使う人も要注意です。目を酷使すると「肝」という体の部分を消耗してしまい、「気」や「血」の巡りに悪影響が出てしまいます。

 パソコンで目を酷使する仕事をしている人は、なつめやブルーベリーを食べるようにしてみてください。寝る前もなるべくパソコンやスマホの画面を見ずに、リラックスして過ごしましょう。

◆◆◆

 食事、生活習慣、運動と日常に取り入れられる養生のコツを紹介しました。中国では、古来から養生の習慣が根づいています。女の子が初潮を迎えると、「冷たいものは食べない」「月経中は体を冷やさない」「結婚したら赤いものを食べる」といった教えが、親から子へと伝えられます。中国ではお嫁に行く娘には、「血」を補うなつめを持たせる習慣もあります。

 養生は短期間で劇的に効くものではありません。「自分の体を大切にする楽しい習慣」と捉え、半年を一つの目安として続けてみてください。心と体が健康になれば、自然と妊娠力も高まっていくと思います。

(取材・文/中島夕子 写真/鈴木愛子)

邱 紅梅(きゅう こうばい)

中医師。北京中医薬大学医学部中医学科卒業。東京・目黒の桑楡堂薬局にて漢方のアドバイスを行うほか、講演・執筆活動も精力的に行っている。月経不順や不妊などの婦人科系の症状を得意とし、多くの高齢妊娠で成果を上げている。著書に『わかる中医学入門』(燎原書店)、『今すぐできる!女の漢方的養生BOOK』(オレンジページムック)など。