借換先の金利と手数料をチェック

 35年ローンで借り入れをして5年が経過し、現在金利2.3%で返済しているパターンで計算してみましょう。返済残高は現時点で3000万円、借換時の金利が1.8%で計算すると、毎月の返済額は7530円、返済総額で271万円も減ります(金融機関によって異なりますが、長期固定の金利はここ5年で0.5%ほど低下していますので、それを前提に計算しています)。

 次に手数料を計算します。借換額の2%+消費税の事務手数料、その他に印紙税や抵当権の設定や抹消で20万円+消費税がかかると仮定すると、合計は86.4万円。返済総額から手数料を差し引くと、184.6万円くらい得をすることになります。これくらいの金利差と手数料ならば、多少手間がかかっても実行したほうがいいでしょう。最初にローンを組んだときに保証料を一括で払っている場合は、一部戻ってくることもあります。これも考慮するとさらに得をする場合があります。覚えていない人は契約当時の書類を確認してください。何を払ったか書いてあります。保証料は一括で払うか金利の上乗せか、どちらかです。金利上乗せの場合は戻ってくるお金はありません(フラット35は保証料がないので関係ありません)。

 借り換えにかかる手数料は金融機関ごとに異なりますが、2%は平均的な水準として参考になります(もっと利率が低い場合や、借り換え額に関係なく数万円程度で定額の場合もあります)。

 適用される金利は、新規借り入れの金利は目立つように大きく掲載されていますが、借り換えに適用される金利は異なる場合がありますので、注意が必要です。ただ、新規借り入れの金利が低い金融機関は、借り換えの金利もおおむね低く設定されています。

固定金利→固定金利の借り換えが最もおトク

 固定金利や変動金利などの「金利タイプ」も、借り換えの重要なポイントです。

1、固定金利→固定金利

2、変動金利→変動金利

3、変動金利→固定金利

4、固定金利→変動金利

 金利タイプの変更は、このように4つのパターンが考えられます。一番シンプルなのは固定金利から固定金利への借り換えです。これは先ほどシミュレーションをしたように、借りてから年数が浅く、金利が0.5%も低ければかなりお得になります。100万円以上、支払い総額が減るのなら、すぐに借り換えてもいいのではないでしょうか。ここ数年の固定金利の下落ぶりはかなり激しいので、一番検討の余地があるパターンです。

 変動金利から変動金利に借り換える場合は、さほど迷うことはないと思います。もともと金利が低いこともあって固定金利ほど下落していないケースが多いと思います。手数料を考慮すると、支払い総額があまり減らない可能性が高いので、注意が必要です。数十万円のために面倒な手間をかけるべきか否か、という判断になります。

 変動金利から固定金利への借り換えについては、通常は返済額が上がります。これは得をするためではなく金利上昇のリスクを避けるための対策になります。アンケートの回答にもありましたが、全期間固定ではなく、10年固定などを選ぶのも一つの選択肢です。35年ローンで当初から10年固定を選ぶ返済方法はあまりおすすめしません。ただ、借り入れからある程度年数が経ち、返済に余裕があって貯金がたくさんたまっていれば固定期間が終わった後に金利が上がっていても影響は限定的です。これは前回も書きましたが、金利変動リスクは手元の貯金額によって大きく変わりますので、過剰に怖がる必要はありません。

 固定金利から変動金利に借り換える人は少ないと思いますが、「今後金利は絶対に上がらない」と予想しているなら、実行してもいいかもしれません。そういった予想はあまりおすすめしませんが、これもすでに書いたように貯金額との兼ね合いです。変動金利で借りて返済期間がある程度経過し、貯蓄を思った以上に増やすことができて金利上昇にも耐えられそう、ということであればこういった借り換えも“あり”と言えるかもしれません。