借り換えの目安は「1%・10年・1000万円」?

 この数字を見たことはありますか? これは借り換えをする目安とされていたものです。

 借りたときと比べて金利が1%以上下がっている、残りのローン期間が10年以上ある、ローン残高が1000万円以上ある……など、これらの条件を満たせば借り換えをしても手数料以上に得をする、と言われていました。

 ただ、これはあまりに大ざっぱな数字です。恐らく一昔前は住宅ローンの計算が難しかったためにできた目安だと思われます。現在はウェブ上のシミュレーターなどで簡単にローンを計算できますので、この基準に縛られる必要はありません。

 ここ数年、金利は下落傾向にありますので、借りてから数年しか経っていない人でも、変動・固定とも借り換えによって返済額を減らすことができるケースはかなりあると思います。

借り換えでどのくらい返済総額が減るか

 まず、借り換えによってどれくらい利息負担が減るのか、簡単な計算方法を説明します。

 必要なものは住宅ローンの償還表です。固定金利ならばローンを組んだときに返済が終わる何十年も先の分まで、毎月の返済額やローン残高が書かれた紙を金融機関から受け取っているはずです。変動金利ならば半年ごとに送られてきます。

 償還表には金利、返済日、返済額、返済額に占める利息と元本の額、その時々の借入残高などが書いてあります。計算に必要な数字は金利、借入残高、残りの返済期間です。35年ローンで5年が経過していれば残り30年ということになります。

 この数字を使って、ウェブ上にある住宅ローンシミュレーターで計算が可能です。金融機関や不動産会社など、信用できるものならどこのサイトでも構いませんが、比較をするならフラット35のシミュレーターが便利です。

 まずは現在の数字を入力します。新たに借り入れをする際と同様に、借入残高を借入額、残りの返済期間を借入期間、そして金利は現在の数値をそのまま入力すれば現在と同じ返済額がシミュレーション結果に表示されるはずです。借入期間は多くのサイトのシミュレーターが年単位での計算なので、残り30年と2カ月、といった場合は30年で計算してください。返済残高もその時点の数字を入力する必要があります。

 端数処理の関係で1円・10円単位で数値が多少ずれる場合はありますが気にしないで構いません。数百円ずれていたら期間を間違って入力している可能性がありますので、確認してください。ボーナス返済がある人はその数字も入力しましょう。

 ここまでは多少面倒かもしれませんが、あとは借換先の金利を入力するだけです。金利が下がれば返済総額は当然下がります。返済総額の差が100万円あった場合、そこから借り換えにかかる手数料を差し引けば最終的に得をする額が分かります。

※借り換え専用のシミュレーターもありますが、入力項目が無駄に多いなど使いにくいものが多いため、通常の住宅ローンシミュレーターを利用した方法を説明しています。計算が可能であればどちらを使っても問題はありません。

 計算手順が理解できれば、借り換えをするべきかどうかの判断基準も分かると思います。借換時の金利と、手数料の額がポイントです。

 なお、住宅ローン減税は借り換えをしても継続されますので安心してください(借換先で返済期間が10年未満になるなど、条件によっては対象外になります)。