千葉市と千葉大学が共同で2010年から実施している、子どもが自分達の力で「起業」を経験する「西千葉子ども起業塾」。従来の「職業体験」とは一線を画す、子ども達の自主性が重視され、さらには経営的に黒字を目指すという体験プログラムです。6月13日から始まった2015年の起業塾では、子ども達が2つの会社を設立し、市内にあるJFEスチールの工場見学会を実際にプロデュースします。実に3カ月の間、真剣に意見をぶつけ合い、企業の担当者からだめ出しを受け、さらに発注金額ミスも発生するなど、紆余曲折を経ながら、子ども達の力だけで準備を重ねてきました。そして、ついに迎えた工場見学の本番。子ども達の1日をレポートします。

前編 職業体験ではなく、子どもの力で「起業」する塾
中編 小学生の作った会社がJFE工場見学をプロデュース
後編 起業を体験することにより子ども達が学び取ったこと

特別見学会の当日 大人達は子どもの自主性に任せる

 9月12日、快晴。「月イチ西千葉子ども起業塾」の塾生にとって、集大成となる一日が始まりました。活動場所を千葉大学からJFEスチール東日本製鉄所・見学センターに移しての特別見学会本番。子ども達はいつもより緊張した様子で、少しでもリラックスできるようにと千葉大学の学生スタッフが明るく声をかけています。

 特別見学会は2回に分けて開催し、午前の部をMOSO社、午後の部をHKS社が担当。子ども達の仕事は次の通りとなります。

1. 説明会の会場セッティング
2. 専用バスで到着したお客様のお出迎え、受け付け
3. 会場内の空いている席へ誘導
4. お客様に軍手やヘルメットを渡し、工場見学に向かうバスをお見送り(社員のうち2名が工場見学に付き添い)
5. 会場に残った社員が後半に向けてセッティングし直し
6. 工場見学から戻ってきたお客様からヘルメットなどを回収し、会場内の席へ誘導
7. 質疑応答のマイク渡し
8. お客様の見送り、会場片付け

この日のために用意されたおそろいのTシャツをみんなで着て、うれしそうな子ども達
この日のために用意されたおそろいのTシャツをみんなで着て、うれしそうな子ども達

「いよいよ本番! みんな今日のために精いっぱい準備してきたよね。緊張もするだろうけど、やれるだけのことをやろう。僕から言えるのはそれくらい」とは、千葉大学の学生で、この起業塾では塾長を務める梶隼人さんが、朝礼の最後に発した言葉。この日、大人達はなるべく上階や物陰に姿を潜め、子ども達が自主的に動くのに任せるといいます。どんな結果になっても、それが自分達で築いたもの。泣いても笑っても結果が出るのです。

西千葉子ども起業塾塾長を務めるのは千葉大学教育学部の学生をしている梶隼人さん。塾長という役割を通して、教育のあり方について学ぶ機会も多いという
西千葉子ども起業塾塾長を務めるのは千葉大学教育学部の学生をしている梶隼人さん。塾長という役割を通して、教育のあり方について学ぶ機会も多いという

控え室のある2階から顔を出し、子ども達の動きを見守る大人達
控え室のある2階から顔を出し、子ども達の動きを見守る大人達

 しかし、午前の部を担当するMOSO社に、いきなり予想していなかった連絡が入ります。

次ページから読める内容

  • 突然のハプニング! 臨機応変が求められたMOSO社
  • ピンチはチャンス 一発逆転を狙い団結したHKS社
  • 大人との真剣なやり取りが子どもを成長させる

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