8歳で経験した貧困

 「ベビーシャワー」とは妊婦さんのお祝いのために赤ちゃんに関連するギフトを贈る習慣のことだが、シャキーラはこの機会を利用して、ソーシャルメディアで世界の親達に「寄付」を呼びかけたのだ。そのなかには国連児童基金(UNICEF)の活動を通して世界各国に支給される、乳幼児のための予防注射や毛布といった必要物資の基金が含まれる。

 自分も子どもの親であること、子どもを思う気持ちはみんなと変わらないことを、普段の姿を発信することで伝えたいという思いが伝わってくるようだ。

 10代のころから歌手としての才能を認められ、中南米のみならず、世界でヒットアルバムを数多く世に出したシャキーラ。世界的な大成功を収めたスターだが、子どものころ、家族の事業が破たんし、辛酸を舐めた時期もあった。

 アメリカのウェブメディア「INO(I'm Not Obsessed)」によれば、シャキーラが8歳のとき、父親がビジネスに失敗して家財を売らなければいけなくなった。両親はシャキーラを公園に連れていき、自分と同じぐらいの年のストリートチルドレンが集まって、裸足でシンナーを吸っている姿を見せたという。もっと困難な目にあっている子ども達がいることを知らせるために。

妊娠のお祝いは世界の子どもへ

 この光景はシャキーラの脳裏に焼き付いて、離れることはなかったようだ。シャキーラがチャリティ活動を始めたのは、1990年代前半にデビューして、数年後のこと。コロンビアの地元コミュニティで貧困に苦しむ子ども達の支援をする団体を立ち上げ、その持続的な活動は2006年に国連から表彰された。

 アーティストとして数々のヒット曲を発表し続け、慈善活動も積極的に行っていたシャキーラは2011年からジェラール・ピケと交際を開始。ジェラールもシャキーラのチャリティ活動を積極的に応援し、長男が誕生する2013年に行ったチャリティ募金活動「ワールド・ベビーシャワー」で集めた資金で、8万人の子ども達にポリオの予防接種を提供し、飢餓に苦しむ子ども達に4トンの食糧を届けるなど、援助を行った。

 シャキーラはこうした世界への貢献活動を呼びかける一方で、自身の子育ての喜びや葛藤も惜しみなく発信している。米CBSテレビの「エンターテインメント・ニュース」(2015年4月)によれば、2人の子ども達に平等に話しかけるように努力しているそうだ。

 「私もジェラールも、すごく家族のつながりが強い家庭で育ったから、二人とも愛情深い親になっていると思う」