模擬面接での息子にとって“鬼門”の質問は、「好きな料理」

【模擬面接での子どもへの質問】

 ・ お名前は?
 ・ 何歳ですか?
 ・ ここまでどうやって来ましたか?
 ・ おうちには、どんなおもちゃがありますか?
 ・ 公園に行くことはありますか?
 ・ 誰と行きますか?
 ・ (公園では)何をしますか?
 ・ 好きな食べ物は?
 ・ お母さんの作る料理で好きな食べ物は? などなど。

 模擬面接とはいえ、いつもクラスで会っている先生からの質問なので、息子も緊張することなく答えている様子だった。

 でも、とにかく椅子に座っていられない。

 体をゆらゆら動かしたり、私の膝に座ってきたり、部屋中を走り回ったり、やりたい放題。親も気が気じゃなくて、息子のほうに気を取られているうちに、質問への答えがおろそかになったりしてしまう。こりゃあかん。

 揚げ句の果てに、こんな言葉も飛び出した。

 「今日は何を食べてきましたか?」(先生)
 「チョコ」(虎)
 「チョコ? お母さんの料理たくさん食べていると思うけど、どんなものが好きですか?」(先生)
 「う~ん、分かんない」(虎)

 おいおい。虎! これじゃぁ、お菓子で朝ごはんを済ませたみたいじゃないか。確かに、この日の朝は、時間がなくて、チョコ味のシリアルでお茶を濁した。毎回、完璧なバランスのよい食事を出しているわけではないけれど、それなりに母も色々考えながらごはんを作っていたんだぞ。その労力は、「チョコ」の一言で全部吹っ飛んだよ。あぁ、もう当面シリアルはお預けにしよう。特にチョコ味は。面接官役の先生の苦笑が胸に痛かった。

 模擬面接後も、息子との何気ない会話の中で「虎はどんな料理が好き?」とか「ママの料理で何が好き?」とか度々聞いてみたのだが、まともな答えが返ってきたためしがない。時には、「ハムチーズ」とか「のり」とかいう答えが返ってきて、「それ、料理じゃないから」と夫から突っ込まれる場面あり。時には「(ママの料理は)きらい」とあんまりな答えが返ってきて、ショックを受けて打ちひしがれる母の姿あり。

 わざとやっているのか天然なのか分からないのだが、彼にとって料理の質問は鬼門だった。本番で聞かれないことをひたすら願う父母なのだった。