選択基準を教えることが子どもの「生きる力」になる
──これだけ情報が溢れている時代で、父親が気を付けるべきことは何でしょうか。
情報が溢れている、「情報過多」という言葉がありますが、情報が多いことが問題なのではありません。子ども達はもちろん、私達も選択基準を持てないことが問題なんです。いわゆる「生きる力」とはいかに自分で何かを選択するか、ということでもあります。だからその選択眼を鍛えてあげることが重要ではないでしょうか。
ネットの普及によって、確かに子どもがいろいろな情報に簡単に触れられるようになりました。その中には当然有害なものも含まれていて、それを大人がブロックするのも大事なことなのですが、ただ取り上げ続けるだけでは過保護になってしまいます。そうではなくて、子ども自身が有害な情報を判断できるようにならないといけない。
そのためには、お父さんが自分の選択基準を持っていることが重要です。
そのうえで、意見のキャッチボールをすることが大事だと思いますね。よく「価値基準の判断は子どもには難しい」という声を聞きます。でも子どもが判断を誤ったのであれば、それがどうして駄目なのかを一緒に考えてあげればいいんです。意見のキャッチボールを重ねるうちに、子どもは独自の選択基準を見つけます。
あとはそれを他人に自分の言葉でアウトプットできるようになるか、そのクセをどうやってつけさせるかです。
ただ、このときにお父さんの選択基準が絶対なんだという伝え方にならないように気を付ける必要があります。「お父さんの興味のあることはこれだけど、他にも大切なことがたくさんあるんだよ」という視点ですね。大事なのは情報ではなく興味を持つ気持ちなんです。色々なことに興味を持っていいということを忘れず伝えてあげてください。
結局のところ、子どもが何に興味を持つかは、親がコントロールできるものではないです。
みなさん教育というと、読んで字の如く「教え育てる」ものだと考えている。だけど実のところ、子どもは勝手に育つもの。教える側よりも教わる側のほうに主導権があります。だから親にできることは何かを具体的に教えることではなくて、学べる環境をつくってあげることです。良い畑がなければ種は育たない。それと同じことですね。