子どもの「しつこい」「うるさい」は褒め言葉
──とはいえ、いきなり「家庭で教育をしなければならない」といわれても、どうすればいいか分からない親は多いと思います。
教育といっても、理科や国語の知識を教える必要はありません。例えば、お父さんが毎日している仕事について子どもに話すことなども、家庭教育の大事な一歩になります。
お父さんの仕事はここが面白いんだ、ここが難しいんだということを、子どもにも伝わるように話してあげる。夢中になって学ぶことの素晴らしさを、お父さんが身をもって教えてあげるんです。かつては「仕事を家庭に持ちこむな」とよく言われましたが、逆に仕事を家庭に持ちこんで、それを教育に利用してしまえばいいんじゃないでしょうか。
お父さんはいわばその仕事のプロなわけで、自分がやっている仕事の話であればいくらでもできますよね。そういう仕事の醍醐味をお父さん自身の言葉で伝えてあげると、子どもはやっぱりワクワクするもの。熱っぽく語っている姿を見ながら、子どもは「学ぶことは面白いことなんだ」と気づくはずです。
このとき、大事なのは、仕事の中身を説明するのではなく、お父さんの熱意が伝わるように気持ちを込めて話すということです。拙い言葉でもいいから、一生懸命伝えるようにしてください。
今、そうやって子どもにしつこいくらい何かを伝えようとするのは、親くらいしかいません。時には子どもから「しつこい」「うるさい」と思われることもあるでしょう。でも、それはむしろ家庭教育においては褒め言葉なんだと思ってください。親がすべきは、子どもが何かに興味を持つきっかけづくりと、そのモチベーションを維持させることです。そして、そのために必要なのは、気持ちとコミュニケーション。子どもが何かに興味を持ち、もっと勉強したいと思う気持ちはその中で生まれますから。
そこまで行けば、子どもは自分から色々なことを調べて学ぼうとするはずです。特に今はパソコンやスマホで簡単に情報が手に入る時代ですからね。
情報はネットを探せばいくらでも載っている。親がすべきは、それより前の段階、何かに興味を持つきっかけをつくってあげることなんです。