「単位時間当たりの自己負担額」は、片働き家庭の半分で済む

 幼稚園では園に入園申し込みをしましたが、認定こども園では、片働き家庭が「1号認定」、共働き家庭が「2号認定」と親の就労形態によって扱いが異なります。入園や継続手続きも1号と2号で異なりややこしいのですが、私が一番問題を感じたのは料金体系でした。

 こども園では、1号(片働き)と2号(共働き)別々に「公定価格(保護者自己負担金額)」が決められます。公定価格は世帯収入によって決まり、高収入の家庭ほど高く、低収入の家庭ほど低くなります。足りない分は税金で補填される「応能負担」と呼ばれる仕組みは認可保育園と同じです。

 結果、うちの園では1号と2号の最大金額が共に3万円弱で、ほぼ同額でした。幼稚園のみ利用する(1号)家庭は週20時間程度、共働き家庭(2号)は週40時間と、利用時間が倍も違うので、単位時間当たりの自己負担額は、共働き家庭は片働き家庭の半分で済むことになります。

認定こども園の制度では、主婦家庭に何も恩恵がない。むしろ、不公平

 わが家のようにフルタイム共働き家庭は、認定こども園の制度では得をします。でも、私はこの変化を素直に喜べませんでした。主婦家庭に何も恩恵がないからです。むしろ、不公平です。

 この園ではもう何年も、共働き家庭と片働き家庭が共存してきました。一緒に園の係をやったり、子どもが遊んだりする機会も多く、自分と違う家族形態を受け入れ、配慮するのも当たり前。だから、こども園の公定価格を知っても表立って「不公平だ」と言う主婦のお母さんはいません。普段から彼女達の他者への思いやりを感じている私は、この仕組みが本当に嫌だな、と思ったのです。身近な友達のためにならない変更だから。

 認定こども園の背景には、平成24年に成立した、子ども・子育て関連3法があります。内閣府子ども・子育て支援新制度施行準備室の資料には、3法の目的は「幼児教育 ・保育・地域の子ども・子育て支援を総合的に推進」すること。その財源は「消費税の引き上げにより確保する0.7兆円程度を含め、追加の恒久財源を確保し、すべての子ども・子育て家庭を対象に、幼児教育、保育、地域の子ども・子育て支援の質・量の拡充を図る」と記されています。