こんにちは、とけいじ千絵です。私は「審食美眼(=食に対する審美眼)を磨き、彩りある食生活を」をモットーに、小さな子どもを持つパパ・ママ向けに講座を開いたり、フードアナリストとして企業の商品開発のお手伝いや執筆活動をしたりするなど、「食育」に携わっています。

 前回は、「食べる子に育てる 生後6カ月からのテーブルマナー」についてお話ししました。今回は、食べる子、さらには「手伝える子」に育てるための、1歳からできる「キッチン食育」についてお話ししたいと思います。

 「キッチン食育」とは、子どもと一緒に料理をする、いわばキッチンを舞台にした食育のことです。子どもは料理を通じて様々なことを感じ、学び、成長していきます。

 私は主催する講座で、「1歳から料理のお手伝いをさせましょう」とお話ししますが、それを聞いて皆さんとてもびっくりされます。

 確かに、幼児に料理のお手伝いをさせることは簡単なことではありません。大人がササッと料理をしてしまったほうがキッチンは汚れないし、時間もかかりません。特に、私自身も日々生活の中で痛感していますが、共働きのDUAL家庭にとって、特に平日の帰宅後~寝かしつけまでの時間は、戦いモードの本当に忙しい時間だと思います。そこで、私のおすすめは、週末の朝ごはんやおやつを、子どもと一緒に作ることです。

 幼児期からきちんとキッチン食育をしておくことで、以下のようなメリットがあります。

【キッチン食育 3つのメリット】

(1)料理のお手伝いをすることにより、食への関心を持つきっかけになる

 食事に関するお母さんの悩みで一番多いのが、子どもが偏食、少食だというものです。確かに栄養面を考えると心配になってしまうとは思いますが、成長の過程で少しずつ食べられるようになればよく、今すぐにすべての食材を食べられなければいけないわけではありません。幼児期は何より「楽しんで食べる」ということが大切です。

 そして「楽しんで食べる」ためには、子どもと一緒に料理を作ることが非常に効果的なのです。というのも、子どもは楽しい記憶と結びついた食べ物を好きになる傾向があるので(これを連想学習といいます)。苦手な食べ物でも、楽しい記憶と結びつけば好き嫌いを克服できる可能性が出てきます。

 また、食材に接する機会が増えれば増えるほど、その食べ物に対する警戒心や抵抗感は和らいでいきます。例えば、子どもが苦手な食材を使って料理をし、自分が料理したからと嫌々ながら食べているうちに苦手食材を克服できるようになるというのはよくある例です。少食・偏食の子に対しては、献立内容をあれこれ悩むより、料理を通して食に関心を持たせるほうが実は一番効果的だったりします。