前回の記事では、アメリカ映画『クレイマー、クレイマー』を見た子ども達のリクエストがきっかけで、料理研究家の李映林さんが作るようになった思い出のおやつのフレンチトーストを紹介しました。今回は、李さんが最近お孫さん達とよく作っているというかぼちゃのクッキーを教わります。かぼちゃの風味をそのまま生かして練り込んだ、優しい甘さのしっとりクッキーです。李さんと話していると、焦らず慌てず、時間をかけて心の声に耳を傾けることが子育て(と自分育て)の最重要ポイントなのだと分かってきます。

クッキー作りで子ども達の創造力も磨いた

李映林さん(以下、敬称略) 子ども達が幼かったころ、よく一緒におやつを作りましたが、その中でも一番リクエストが多かったのがクッキー作りでしたね。

日経DUAL編集部 こねたり型抜きしたりは、お子さん達も一緒にしていたのですか?

 はい。子ども達とみんなで作っていました。かわいらしい型や外国製の珍しい型を見つけては少しずつ買い集め、りすやうさぎ、ぞうなどの動物や、お花、星、木など自然のモチーフ、男の子が好きな車やバイクなどの型を使って作っていました。あるとき、長男が型を使わずにUFOの形を作ったんです。窓もあり立体的で驚きましたね。もちろんそれでは中まで火が通らないんですが、一度焼いて食べてみて、焼けないということを知ることも経験です。

 それからは、下の子ども達も長男をまねて、だんだんと形を工夫するようになり、自分の好きな形を自分で作るようになりました。

 他にも、庭の葉っぱをちぎって模様をつけたり、絵本を見て「どうしたらこの絵みたいなクッキーができるだろう」と色々工夫してみたり。4人の子どもがいるから、本当に色々な形のクッキーができましたよ。

―― ただクッキーを作るという以上の楽しみがあったのですね。

 日常生活の中で子どもと一緒に楽しみながら、たくさんのことを経験させてあげることが理解力や想像力を養い、感受性を豊かにするのです。それが子どもにとっては、大きな力となるのです。

 今日は、孫息子と一緒に初めて作ったかぼちゃのクッキーをご紹介しますね。

「クッキーの型は、外出先でかわいいものを見つけたときに買ったり、子ども達と選んだりして、たくさん集まりました」と李さん
「クッキーの型は、外出先でかわいいものを見つけたときに買ったり、子ども達と選んだりして、たくさん集まりました」と李さん