──今回分析するのは、2015年7月4日午後に奈良で起きた、女児監禁事件です。この日、家族と一緒にリサイクルショップに買い物に来ていた小学校6年生の女児は、施設内のトイレに行くと言って家族から離れたところで誘拐されてしまいました(「奈良で小6女児連れ去り、男を逮捕 女児無事保護」日本経済新聞2015年7月5日付)。この事件からも、犯罪が起きやすい場所を分析することができるのでしょうか。
はい。この事件の発生現場には、実は犯罪現場に共通して見られる要素がいくつも含まれていました。そういった意味では、非常に象徴的な事件だったと言えるでしょう。では、事件そのものを分析する前に、事件が起きる場所に共通して見られる要素について、もう一度復習しておきましょう。
ここでいう「入りやすい場所」とは、誰でも簡単に中に入れて、他の人に違和感を与えない場所です。「見えにくい場所」とは、木々や壁に囲まれていたり、周囲に家がなかったりして、犯人の姿がよく見えない場所です。
例えば、神戸連続児童殺人事件の場合、被害に遭った少女と犯人が出会った場所は、周囲にマンションの窓がたくさんある「見えやすい」公園でした。ですから、犯人は高い樹木で覆われた「見えにくい」場所に移動し、犯行に及んだんです。(過去記事「神戸連続児童殺傷事件から学ぶべき防犯ポイント」参照)
また、三重県で起きた事件の場合、被害に遭った少女と犯人が出会った場所は、「心理的に入りやすく見えにくい」スーパーマーケットで、実際の犯行現場は「物理的に入りやすく見えにくい」空き地でした。(過去記事「犯罪者は人が多く明るい場所でターゲットを見定める」参照)
このように、犯行現場にはこの2つの要素が含まれているケースが非常に多いため、この2つの言葉をしっかりと頭に入れ、景色を見てこの要素を読み取る能力を身に付けておく必要があります。
次ページから読める内容
- 犯行現場の風景から、危ないポイントを探してみよう
- 人の数が多いほど、人の目は届かなくなる?
- 防犯カメラは、つける向きによって効果が変わる!
- できるだけ男女の入り口が離れている公衆トイレを選ぼう
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