皆さん、こんにちは。株式会社子育て支援の代表取締役、熊野英一です。このコラムでは、アドラー心理学をベースに「自分を勇気づけることの大切さ」をお伝えしています。

 今回は、皆さんも日常生活でよく使っているであろう「劣等感」や「コンプレックス」といった言葉について、考えてみたいと思います。このような気持ちとうまく付き合っていくためには、どんな工夫が必要なのでしょうか。

劣等感を言い訳にして、克服すべき困難を避けていない?

 <ケース1>
 私は部署内でただ一人のデュアラー。仕事と子育てを両立させたい!気持ちはある。いや、あった、と過去形にすべきかも。子どものお迎えがあるから長時間残業はできないし、子どもの病気で急に休まなければならないときもある。こんな状況だから、最近では「部署のお荷物」扱いされているような気がして。それならいっそのこと、今後のキャリアアップは諦めようか……。

 こんな風に、同僚と自分を比べて主観的な「劣等感」を抱いてしまうことはありませんか。アドラー心理学では、自分が主観的につくり出した「劣等感」を言い訳にして、克服すべき目前の困難を避けようとする態度を「劣等コンプレックス」と呼び、そのような非建設的な行動を選択することをよしとしません。

 どんな困難に直面しようと、それに対して建設的な行動を選択するか、非建設的な行動を選択するかは、あなた自身が決めることなのです。アドラー心理学では、これを「自己決定性」といいます。<ケース1>では、勤務時間の長さで同僚に引け目を感じるのであれば、仕事のスピードや正確性で一目置かれようと工夫するようなことが、建設的な行動の一例として考えられます。

 それでは次のケースはいかがでしょうか。