子どもを産んでも仕事はできることを後輩に伝えたい

中野 後輩の育休世代にメッセージはありますか?

Y 私自身は情報がない中で一つ一つクリアしてやってきたつもりですが、後輩達は課題が見えている状態なので、早い段階で「キャリアはいいや」と思い始めている人も多い気がします。両方できるよ、というのをどう伝えていいか悩みます。切り開いてきた感を出し過ぎると難しい。働きたいなら働けばいい、上に行きたい人だけ行けばいいという状態から、本気じゃない人もその気にさせないと、会社の全体最適としてはもったいないとは思います。

Z 後輩の女性にも、残業がっつりやらなくても上がれるよと、見せてあげないといけないと思っています。上から「期待してるからこういうことやってみない?」って言われたら頑張ってみようと思えるんじゃないかなと。

W 身近なワーキングマザーは上昇志向があまりない人が多い。細く長く会社にいたいという人が残っていて、見ていてもったいないな、とは思います。ただ、「頑張れ」って言っても難しいと思うんですよ。私自身、以前女性の先輩で「私は子どもは要らないし、キャリア突き詰めて社長になる」と言っている人を見て、「ああはなりたくない」と思ったので、あまり自分の考えを後輩に押し付けたくないなと思っています。「あ、あの人、子どもがいたんだ」くらいに落ち着いて仕事して、「子どもいてもできるんだ」と思ってもらいたい。

X 子どもが中学に入ると楽になります。私も友達と旅行に行ったりできて、大変な時代はあっという間に忘れてしまう。後輩には子どもを産んでも仕事できるんだな、見てもらえばいいなと思っています。時間的に負担になるような仕事ではなく、領域を広げるような仕事を与えてみるとか、勉強してみたらというアドバイスもしています。

 ――『「育休世代」のジレンマ』では育休復帰後に抱えるモヤモヤから、中には非常に短い期間でキャリア選択に踏み切る人もいる様子を描きました。今回は40代、50代のお二人がお子さんが「小1の壁」に対して職場を変えることで対処されたのに対して、30代半ばのお二人は、新卒で入った会社の中でこの数年で会社の対応や周囲の理解が改善してきていることを実感されていました。

 前回の「『育休世代』より上の世代のジレンマ」座談会でも話題になりましたが、先輩ママ達のおかげで、様々な両立支援制度や活躍するための環境は今後も改善していく余地があると思います。それを見極めたり、声を上げるのに参加したりしながら、「仕事も子どもも愛している」という日経DUAL的な両立を、より多くのママパパができることを祈ります。

 本連載はこれまで全6回の座談会を13回の記事にしてきましたが、今回をもって終了いたします。ご参加いただきました座談会参加者の皆様、読んでくださった皆様、どうもありがとうございました。またどこかでお会いできることを楽しみにしています。