親が働いている家庭の子どもはたくましいかも

W うちも住んでいるエリアの公立には全く懸念がなくて、むしろ比較的レベルは高いほうだと思うのですが、子どもが「中高一貫で野球したい」「高校受験で野球できないのはいや」という理由で…。

Yさん(以下、敬称略) 公立中学は全く問題ないんですよ。それなのに、9割が受験します。実際は、5割くらいが志望校の私立に合格して、残り5割くらいが地元の公立に行くんですね。私は自分の子は公立でいいじゃんと思っているのですが、周りの雰囲気に飲まれずに、気持ちを保てるかどうか自信がありません

Zさん(以下、敬称略) うちの小学校も6~7割くらいが受験して、行きたいところに行けた人以外が結局、地元の公立に行きます。私は子どもが3人いるので、一緒に頑張れるか、踏ん切りつかないです。1人くらい受験させることができても、3人やろうとしたら途中で力尽きそう。でも周りが塾に行き始めると気持ち的には焦ってくるんですよね。塾によっては小3ですでに満員で、その後新規は取りませんみたいなところもあって、ちょっと焦ります。

X うちは娘の通った中高一貫が素晴らしい学校で、受験させてよかったと思っています。塾は、塾によっても親の負担が変わってきますよ。専業主婦の熱意溢れるママがやらないといけないタイプの塾と、親は弁当だけ作ればいいタイプの塾もあるので。

 ただ、やっぱり受験する年の1~2月は事務的なところと試験本番の付き添いで時間がかかるんですよね。仕事は12月末までに全部終わらせて、体を空けられるようにしました。でも中には、模擬試験も本番も自分だけで行くという猛者のお子さんもいました。お弁当もスーパーのおにぎりで通して、子ども自身も大して気にしていないように見える、それでいてちゃんと第一志望に受かってるような親子もいて。仕事している家庭の子どもは、お母さんがいなくて困ったことは自力でサバイバルしているから、本番に強いかもしれないです。

W 学童がつまらなくて通わなくなると、「何か他にすることないかな」という空気にもなりますね。ただ受験となれば、秋は毎週末、文化祭巡りとか、何かと親も時間が割かれます。でも親が働いていると「塾弁忘れた!ごめん、今日はコンビニで買って」とかはたまにあるので、子どもも意外とそういうときに対応する機動力が身に付いているかもしれないです。

―― 塾通い、中学受験については参加者が全員、親として積極的ではないものの、子どもが周りに押されて行きたがるという面もあって「塾に通う/受験をするのが当たり前」となっている風潮を感じました。公立中学に問題はないということで、塾産業の思うツボにはまっていっているような印象も受けました。

キャリアに関する悩みを誰とも共有できない

中野 小学生前後で、仕事の仕方、キャリアのバランスで悩むことはありますか?

Z 今は時短で働いているのですが、3人産んでいる自分がやれば後輩も後に続きやすくなるかなと、色々言われても時短で働くというのを通そうと思ってやってきました。でも1人目、2人目を産んだ数年前までは誰もいなくて、復帰するんだったらフルタイムが当たり前という世界だったんです。ここ数年で世の中の雰囲気に押されて、会社ががらっと変わってきました。人事から事例を増やしたいと言われることもあるし、新卒採用で学生も聞いてくるんですよね。

W 逆にそれくらいやらないと、会社として名が落ちるというふうになってきていますよね。

Y うちも小2まで時短が取れます。夫の転勤の話も言ってあるし、低学年のうちは大変というのは理解してもらっています。ただ、「子育て大変だね」「旦那さんも仕事で大変だね」というのは言ってくれるけど、誰も私の仕事の昇進とかについては心配してくれないんですよね。課長試験いつ受けようかな、子どもが何年生で受けようかな、残業できないとなると昇格試験は受けられるのだろうか、という悩みは誰とも共有できないです。今の悩みは育児よりもそこなのですが。

Z うちも小学校に入るころに時短が切れると働きづらいという声が出てきて、会社が期間を伸ばしてくれそうな空気になっています。ただ、「いつごろフルタイムに戻って、残業できるの? それをしないとキャリアにつながらないよね」という発言は、バリバリやっている男性からは来ますよね。「小学校に入ったらバリバリできるんでしょ」とも言われますが、小1で21~22時まで親が帰ってこないという状態にはできないですよ。男性も残業しないで帰って、自分の勉強するなり自己研さんしなさいよと言い返したいです。