こんにちは。女性活用ジャーナリスト・研究者の中野円佳です。1年前に『「育休世代」のジレンマ』という本を出版しました。「育休世代」というのは、2000年代に入り、大企業の新卒採用に占める総合職女性の割合がかなり増えてきてから入社した世代のこと。この本は、2000年代に就職して2012年までに第一子を出産した女性15人へのインタビューを基にしています。
 本では自らの育った環境から妊娠、育休、復帰を経て感じるジレンマに焦点を当てており、子どもの年齢が2歳くらいまでの状況が対象。一方、この連載では、本で分析した人達の周辺にあるジレンマに幅広くスポットを当て、座談会形式でヒアリング、分析をしています。今回は、子どもが成長してから直面するモヤモヤには何があるのか、「子どもの年齢が上がってからのジレンマ」に迫ります。

(日経DUAL特選シリーズ/2015年4月収録記事を再編集したものです。)

【座談会参加者プロフィール】
Wさん 43歳、海外大(経営)→外資系企業を数社転職し、今は部下なし管理職。子どもは小5の男の子、年長の女の子
Xさん 50歳、国立大(理)→人材系→転職。子どもは高3の女の子、中1の男の子
Yさん 36歳、私立(社)→メディア系企業。子どもは小1の女の子
Zさん 36歳、私立(経営)→IT企業でシステムエンジニア。子どもは小3男の子、年長の女の子、年少の男の子の3人

小学校入学時が一番大変だった

中野円佳さん(以下、敬称略) 今までの育児を振り返って、一番大変だったタイミングはいつですか?

Xさん(以下、敬称略) 一番大変だったのは上の子が小1に上がる前後ですね。二人目の育休後にすごく大変な部署に配属されて、それ以来、残業続きでした。育児は実母に任せ、始発で会社から家に帰って保育園に子どもを送ってまた会社に行くという状況でした。上の子は「しっかり者」と言われていたのですが、ある日実母に「あなた分かってる? あの子、書き順とかめちゃくちゃだよ」と言われ、放っておいたらダメということに初めて気づきました。

Yさん(以下、敬称略) 私も小1に上がったところですね。それまで夫が平日休みなどもあり、お迎えや発熱時の対応は分担していたのですが、夫が異動して管理職で残業続きになってしまったんですね。それで私は一切残業できなくなり、卒園入学の準備など全部一人でやりました。学童は毎日お弁当だし、夏には夫が転勤になって、夏休みが終わるまでが一番きつかったですね。夫の単身赴任で家事量は減ったので、学校が始まったら楽になりましたが、夏休み明けに自分が熱を出してしまいました。

Zさん(以下、敬称略) 私も長男が小学校に入学するころに引っ越しをして、しかも下の子の転園、育休からの復帰などが重なり、覚悟はしていたけどつらかったですね。周りも知らないママだらけで、情報が入らなくて大変だったし、学童に同じ学校の子が一人しかいなくて「小学校のみんなと仲良くなりたいんだよね」とぼそっと言われたりしました。

Wさん(以下、敬称略) 私も長男が小1のときが大変でした。小さい保育園から小学校に入り、周りがほぼ幼稚園出身者だったので小学1、2年生の途中までなじめなかったんです。ちょっとしたいじめのようなものもあり、殴り返したというので放っておいたのですが、当時は心配しました。

中野 お子さんは自分から話してくれたんですか? どうやって解決しましたか?