肥満率も虫歯率も高い南九州…要因は?

 南国の南九州も子どもの肥満率が高いようですが、これはなぜでしょう。私が何かの本(書名は失念)で読んだところによると、甘いお菓子の食べ過ぎではないかとのこと。これらの県は親族関係が密で、祖父母が孫にお菓子を与えることが多いのだそうです。なるほど、私の郷里は鹿児島ですが、当地の銘菓「かるかん」、あれオイシイのですよね。親族行事でよく出るのですが、私も子どものころ、バクバク食べた覚えがあります。ちなみに南九州は、子どもの虫歯率も高くなっています。祖父母の皆さん、お孫さんへのお菓子のあげ過ぎには注意しましょう。

23区内は平均世帯年収が低い区ほど肥満率が高い

 次にレンズをもっと絞って、東京都内の地域差を見てみましょう。東京の小学生は、学年が上がるほど肥満率が上昇し、地域差も大きくなります。そこで、公立小学校高学年(5・6年生)の肥満率を、都内23区別に計算してみました。学校医によって肥満傾向と判断された児童は全体の何%かを示すものです。図2はそれをもとに描いた、大都市・東京の子どもの肥満率地図です。

 肥満傾向児の定義が異なるので、文科省のデータよりも率は低めですが,都内23区の相対比較をすると、地域性がはっきりと出ています。北部が濃い色で染まっているのです。肥満率が3%を超えるのは板橋区(3.9%)、台東区(3.6%)、北区(3.6%)、足立区(3.1%)です。

 上記4区の周辺では、公園などの遊び場は都心よりも多いと思われます。しかし子どもの肥満率はそうした環境条件とは相関していません。関連しているのは住民の平均年収でした。第22回(「お金持ちエリアに住むと、子どもの学力が上がる?」)の記事で、都内23区の平均世帯年収を出しましたが、この指標と子どもの肥満率の相関を取ると、図3のようになります。

 23区のドットは右下がりに分布しており、2つの指標が負の相関関係にあることが分かります。平均世帯年収が低い区ほど、子どもの肥満率が高い傾向が見られます。相関係数は-0.7146であり、1%水準で有意です。貧困と肥満の結び付きのマクロ的な表現といえるでしょう。