新規株式公開で注目を集める日本郵政グループにおいて、郵便事業の運営と郵便局の運営を担う日本郵便。公共性が高く収益構造が異なることなどから今回の上場には加わらず日本郵政の子会社の位置を維持していますが、組織改革には意欲的に取り組んでいます。

 中でも女性の力を活かすことに重点を置き、2014年9月に「女性活躍室」(女性5名、男性2名在籍)を立ち上げた。正社員約20万人、うち女性社員約4万人という巨大組織において、女性の活用度をどのように高めているのでしょうか。「女性活躍室」の取り組みの成果、男性管理者への対応、巨大組織の中でのプロジェクト推進術を初代室長の一木美穂さんにお話を伺いました。(聞き手は羽生祥子・日経DUAL編集長)

日本郵便、女性活躍推進室長の一木美穂さん
日本郵便、女性活躍推進室長の一木美穂さん

羽生編集長(以下、羽生) 日本郵便が女性活用を目指す意図・目的はどういうところにあるのでしょうか?

一木美穂さん(以下、一木) 根本にある理念は、「トータル生活サポート企業」として、あらゆる女性の生き方を応援すること。お客さまと当社の女性社員を一体的に応援する目的で「Dear Woman Project」を立ち上げました。従業員満足度(ES)を上げることで、顧客満足度(CS)も向上すると考えていますので、女性が働きやすく、働きがいのある職場作りは必須課題です。

 商品・サービス・営業体制においても、女性の視点や特性を活かしたいです。郵便局のお客さまは7割が女性というデータがあるんです。つまり、多くのお客さまと同じ「女性の目線」で商品やサービスを提案する力を持っているということです。女性はお客さまに与える印象もソフト。コミュニケーションのきっかけ作りに持って生まれた女性ならではのメリットを発揮し、マネジメントにも期待を寄せています。

女性管理者が「自分と向き合う」研修を実施

羽生 「女性管理職」というと、郵便局の局長や窓口営業部長といった方が多くを占めるようですが、そうした女性管理職向けに新しいタイプの研修を導入したそうですね。

一木 はい。星野リゾート、集英社と協力して研修プログラムを開発しました。「ステップアップセミナー」と銘打ち、今年7月、山梨県にある「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」で実施しました。参加したのは40~50代、郵便局長・部長クラスの28人の女性です。テーマは、自分と向き合い、「リーダーシップ養成」「自己管理」「おもてなし力向上」を学ぶほか、女性の視点を活かしたサービス提案を行うグループワークなどです。

羽生 当の女性管理職の皆さんは、どんな悩みや課題を抱えて参加されたのでしょうか。

一木 自分が管理者としてふさわしい言動をしているのか、不安に感じている女性は多いですね。また、さらなるステップアップの道を見い出せず、頭打ち感を抱いている女性も。かといって、そうした悩みを誰かと話し合う機会もなく、一人で抱え込んでいたりします。

羽生 研修を通じて、そうした悩みは改善されましたか。

一木 座学ではなく、「体験型」のプログラムを中心としたのは効果的だったと思います。例えば、「リーダーシップ」を学ぶプログラムとして取り入れた「引き馬体験」は好評でした。言葉が通じない馬とコミュニケーションをとり、「馬に意図した指示を的確に伝えられたか」という視点から、部下や同僚とのコミュニケーションにおいての自身の特徴や課題をつかむというものです。

「指示があいまいで馬を困らせてしまった」「うまく叱れなかったが、強い気持ちで接した方が伝わる」「観察することの大切さがわかった」など、様々な気付きがあったようですね。

馬を使った注目の社員研修も企画した
馬を使った注目の社員研修も企画した

羽生 「自己管理」もテーマの一つと伺いました。

一木 姿勢チェック、歩き方、体調の整え方、メイクなどの講座も行いました。参加者は「自分が人からどう見られているか」を認識できたようです。研修後、「職場に戻ってどうなったか?」のアンケートを取ったところ、「今まで以上に笑顔で接するようになった」「自己プロデュースを心がけるようになった」「お客さまの視点で改めて郵便局を見つめ直すことができた」といった声があがりました。

羽生 郵便局の「顔」であるという自覚も高まったのですね。では、管理職未満の女性たちに向けてはどうした施策を打っているのでしょうか?

次ページから読める内容

  • 「ロールモデル」の姿を発信する
  • 上司と女性社員が「日頃考えていること」を共有
  • 他部署・他プロジェクトと組むことでスピードアップ

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