仕事の「頑張るタイミング」が変わった

 では、仕事と育児・家事を両立するために、4人はどんな仕事術や時間術を実践しているのだろうか。

 越澤さんは「僕も妻も、事前にダンドリをしっかり決めておきたいタイプなので、土日も含めた1〜2週間分のスケジュールを夫婦で前もって決めて共有しておきます」と話す。そうすると、先々の予定の見通しがつくことで気分が良くなり、仕事の段取りもつけやすくなる。

 大山さんは「以前は『定時』なんて意識せずに働いていましたが、今は定時で仕事を終える前提でスケジュールを組むようになりました」という。例えば、子どもの相手をした後の夜中に考えようと思っていても、子どもの寝かしつけをしながら自分も寝てしまい、朝起きて「しまった」となることが多かった。そこで仕事ができる時間とできない時間をしっかり切り分けるようになったという。

 また大山さんは保育園への送りを担当しているが、子どもが熱を出したりしていたら、実家に送り届けるなり病院に連れていくなりの対応をしなければならない。そのため朝の時間帯は融通が利きやすいスケジュールを組み、大切な案件は午前中になるべく入れないようにしているという。

赤木洋さん
赤木洋さん

 赤木さんも「僕も同じく『時間』を意識するようになった」と大山さんに同意する。子どもが生まれる前は、「来週の月曜までに考えておきます」と言っていたが、今は土日はないものとして仕事の予定を組んでいる。

 一方、森口さんは「子どもができて、仕事を頑張るタイミングを前倒しするようになりましたね」と語る。

「昔、仕事の先輩に教わった言葉に『締め切りは最大のクリエイティブ』というのがあって……。つまり、プレゼンの直前ギリギリまで保留して、火事場の馬鹿力でアイデアをひねり出す、ということをやっていたんです。でも子どもがいる今の環境では、突発的に何が起きるか分からず、土壇場で無理が利かない可能性がある。徹夜して乗り切れるとは限らない。締め切り直前まで仕事を引っ張るのは、非常に危険なわけです」

 そこで森口さんは今、新しい案件を受けたり課題が持ち上がった時点で、すぐにスタートダッシュをかけて集中的に頑張り「こういう道筋を辿り、こういうゴールを目指す」というめどを立てるようにしておく

 そして、最初に頑張った数時間〜1日でも仕事の目処が付かなかった場合は、「自分1人では解決できないかもしれない」と判断して、他人に企画の相談をして一人で抱え込むのをやめたり、他のメンバーからもアイデアを生み出してもらえるよう会議を設定するなどの仕組み作りにシフトするようになったという。「これは、昔の自分なら取らなかった手段です」(森口さん)