相手も自分も幸せになれる関係を築いて、相談事やお願い事が上手にできるようになる方法を紹介している連載「ハッピー交渉トレーニング」。今回は、子育て真っ最中の働くパパ、ママ4人が日常の様々な「交渉」の悩みを告白。小早川優子さんに交渉学のエッセンスを使った解決法を教えてもらいました。職場編と家庭編の2回に分けてお送りします。

【座談会参加者プロフィール(いずれも仮名)】

小橋奈緒さん(33):政府系機関に勤務。入社9年目。結婚3年目で1歳の長男がおり、現在は育休中。
石田久美さん(35):金融機関に10年余り勤務し、最近退職したばかり。結婚6年目で5歳の男の子と1歳の女の子がいる。
窪井圭太さん(38):人材サービス系企業に勤務。入社14年目。結婚8年目で4歳の女の子とまもなく2歳になる男の子がいる。昨年は11カ月育休を取得した。
田久保遥さん(33):メーカーに勤務。入社10年目。結婚4年目で、2歳8カ月と4カ月の2人の娘がいる。現在は育休中で、まもなく復職予定。

小早川 「交渉」というテーマで、皆さんが日ごろ困っていることを教えてください。まずは職場の状況からお願いします。

窪井 入社4年目から昨年に育休を取るまでずっと管理職をしていました。長時間労働で土日も出勤、出張もかなり多かった。育休から復帰するに当たって、もう少し働き方をセーブしたいと考えていました。旧来の管理職像ではない、「イクボス」的な管理職を目指したいと人事部経由で会社に強く意向を伝えましたが、結局、管理職を外れる形に。復職して半年、もう一度人事とも話さなければいけない時期なので、どう交渉すればいいか悩んでいます。

田久保 経理部で働いています。第1子を出産した後、またフルタイムで頑張ろうと思っていた矢先に第2子の妊娠が発覚。その後会社が忙しくなって、上司に「これ以上はできない」と何回訴えてもどんどん仕事をふられ、結局引き受けざるを得なくて夜中まで残業したこともありました。まもなく職場復帰しますが、当面は午後4時までの時短勤務。4時以降の仕事を受けるか受けないかといった場面で、上司とどう話をすればいいのか、興味があります。

石田 第2子の育休を取って職場に戻ろうとしたところ、入社以来ずっと働いていた勤務地ではなく、全社の3割程度しか人が置かれていない別の勤務地での仕事を打診されました。育休明けに異動があるのは社内の通例なのですが、勤務地まで変わるのは納得がいかず、それを機に退職しました。今思えば、上手に交渉すればもっと働けたのかもしれません。すでに結論は出してしまいましたが、あのときどういう対応ができたのか、改めて整理したいです。