ここ数年、小学校受験業界で注目を浴びている塾がある。国立や有名私立小学校への合格率をメキメキと伸ばしているのが、ジャックだ。通っている子ども達は“ジャッカー”と呼ばれ、親たちの信頼も厚い。そんなジャックの特徴は、子どもの授業の間、親は後ろで見守ること。親も一緒に先生の指導法を見て学ぶことで、家でも同じように子どもをサポートしていくことができるという方針だ。

 そんなジャック幼児教育研究所の理事、大岡史直さんに今回は親の小学校受験準備における役割を聞いた。(前回の記事「保育園送迎中の会話も、小学校受験に生かせる」はこちら

「お母さん、怒らないで」褒めるより上の子育て術

 “子どもは褒めて育てろ”とよく聞くが、実際に日々子どもと向き合っていると怒らずにいられないときはどうしても折々でやってくる。しかも、小学校受験という目標に向かっているならば、なおさらどうしても熱くなってしまう親も多いだろう。

 それでは、親はどのように子どもに接していくのがいいのだろうか。

 「受験で重要なポイントとなるのは、家庭学習の仕方と親の声かけです。教室で学ぶことももちろん大事ですが、キーとなるのは親の関わり方なのです。小学校受験は、他の受験と違い親がコントロールして先導していく部分が非常に大きい。だからこそ、その関わり方は重要です

 大岡さんは強調する。子どもを伸ばすのも親ならば、つぶしてしまうのも親なのだ。

 ジャックでは、子どもが授業を受けている間、親は後ろで見学することになっている。メモを片手に先生の声のかけ方や教え方を記録し、家庭学習のときに生かしてもらうためだ。

 「子どもは親の言うことをよく聞いています。親の声かけ一つでさらに伸ばしてあげられるかが決定的に違います。だから、私は子どもには怒りませんが、親子のやりとりを見て親に注意することはよくあります。『そんな言い方をしないで、こう言ってあげてください』とはっきり言うようにしています」

 では、具体的にどんな声かけをすればいいのか、大岡さんにいくつか例を教えてもらった。

<見直そう、子どもへのこんな声かけはNG>

<1:子どもが問題の答えを間違えてしまったとき>

 ×「それじゃだめよ! 間違いを多くする子が落ちちゃうのよ!」
  →こうやって声をかけよう
   ○「答えが合っている数の多い子が受かるんだって。合っている数が増えるといいね」

<2:子どもが初めてやることに失敗したとき>

 ×「やったことないからできないのよね。仕方ないわ」
  →こうやって声をかけよう
   ○「初めてだけど面白かったね! また家でやってみようね」

<3:何度もトライしても子どもがうまくできなかったとき>

 ×「一生懸命やったけどできなかったのよね」
  →こうやって声をかけよう
   ○「前よりもここまでできるようになったね。また頑張ったら、きっともっとできるよ!」

 ついつい失敗した子どもに否定的な言葉を言ったり、諦めるようなことを言っていないだろうか? 受験をしない人も、これを参考に改めて声のかけ方を考えてみてはどうだろうか。

褒めるより驚く

 前述の例にもあるように、親は子どものそれまでの成長を認め、さらに少しだけ背中を押してあげる声かけをするのが理想だ。逆によくないのは「頑張ったけどできなかった」という言い訳をさせてしまうことだという。