今でこそ、週末に「キッズデー」を設けるハイエンドなレストランも珍しくありませんが、十数年前となると話は別。そのころから、東京・赤坂にある「ラ・スコリエーラ」は「バンビーノ★day」(バンビーノはイタリア語で赤ちゃん)を設けていました。バンビーノ達が集まる日、魚介料理で東京随一と言われる南イタリアンレストランをちょっとのぞいてみました。

ショーケースに並ぶぴかぴかの魚や貝

「船長」の漁船から&全国にいる漁師仲間から旬の魚が届くうえ、築地市場へシェフが通い、とびきりの素材を仕入れている
「船長」の漁船から&全国にいる漁師仲間から旬の魚が届くうえ、築地市場へシェフが通い、とびきりの素材を仕入れている

 いかにも都会的で洗練された高層ビルの一角、レストランのエントランスに回ると大きな鉢植えがいくつも並び、広々としたテラス席を心地よい秋の風が吹き抜けていく。店内に入って外を見ると、テラス席を囲む木々や街路樹の緑が目に飛び込み、思わず赤坂にいることを忘れてしまいそうだ。ランチ時は近隣に住むママ達やビジネスピープルでにぎわい、夕方からはテラスでゆったり過ごそうという人々が列を成す、というのもうなずける。

 イタリアの海沿いに広がるシチリア、サルデーニャ、カンパーニア、プーリア地域の料理が中心の「ラ・スコリエーラ」は、魚介類に特化したメニューで迎えてくれる。訪れる客や従業員から「船長」と親しみを込めて呼ばれるオーナーは、12トンの漁船「第三友喜丸」を所有している八丈島出身の、正真正銘の船長。自分の船で釣れた魚はもちろんのこと、日本全国の漁師仲間から送られてくるものや、築地で毎朝仕入れるものなど、艶やかな魚介がショーケースに並ぶ。

 「ぴかぴか」とか「きらきら」という表現がぴったりの魚や貝は見るからに新鮮そう。だが、魚も貝も鮮度がよければおいしいとは限らない。例えば半日や1日置いたほうが、身が柔らかくなったり、うまみが増したりする魚もある。ここではそれぞれの「食べごろ」を知り抜いたシェフが、熟成したころを見計らって調理する

 そんなこだわりのレストランが「バンビーノ★day」を始めたきっかけは、共同経営者であるマダムが、友人の漏らした言葉を心に留めたことだったという。

貝をかたどったブルーのテーブルプレート。席に着くなり何を食べようかと楽しくなる仕掛け
貝をかたどったブルーのテーブルプレート。席に着くなり何を食べようかと楽しくなる仕掛け

自然光あふれる店内でそこここに南イタリアの香りが漂う
自然光あふれる店内でそこここに南イタリアの香りが漂う