これまで、思春期を迎える時期やその前の“プレ思春期”に親として子どもにどう向き合っていくべきかというテーマで、専門家のアドバイスを紹介してきました。では、子ども達自身が今、純粋に求めているものはどんなことでしょうか。特集最終回では、思春期世代の子ども達の本音に迫ります。
子ども達が求めているのは簡単なようで難しい
子ども達自身が今、純粋に求めているものは何だろうか――小学生の放課後を安全で豊かにするために「アフタースクール」を展開している、特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰さんに聞いてみた。
「子どもたちが求めていること。それは一言で言うとシンプルに、『友達と遊ぶ時間』です」
放課後に自由に友達と遊ぶことができない今の子ども達
「あまりにも普通で『そんなこと簡単にできるじゃないか』と思う方も多いかもしれませんが、塾や習い事で忙しい今の子どもたちにとって、放課後に心おきなく友達同士で遊べる時間というのはとても貴重でレアな体験になってきています」
同法人が2014年6月から15年5月にかけて全国の小学生1029人を対象に行ったアンケートでは、「放課後・夏休みにやりたいことは?」という質問に対して、1位から順に「サッカー」「ドッジボール」「鬼ごっこ」「縄跳び」というランキングになった。
平岩さんが最も注目したのは5位の結果が、「(やりたいことが)ない・分からない」という回答だったことである。
「今どきの子ども達は、親達が過ごし方を決めてくれることが多く、『今日何して遊ぼうか?』と考えて遊ぶことが少なくなっています。そういう環境の中で、『放課後や夏休みに何がしたい?』という質問に対して『ない』とか『分からない』という答えが増えてきたのだと思います。子どもが自分の遊びを作れない、これはとても心配な傾向です。
回答をさらに分析していくと、一つのことに気づきました」