資産運用はほどほどに

 住宅ローンの金利は低いので、繰り上げ返済をせずに運用すればよいと考えている方もいます。そのようにアドバイスをするFPや運用の専門家もいますが、あまりおすすめしません。住宅ローンの金利以上に利益を出す運用は、元本保証タイプの運用方法では不可能だからです。例えば現在、1%の利回りを確実に得られる運用方法はありません。

 国債の売買で決まる長期金利が記事執筆時点で0.3%程度ですから、それよりほんのわずかでも高い利回りは何かしらのリスクを取らなければ実現できません。それならば繰り上げ返済に回したほうがよっぽどマシです。住宅ローンがあるときに行う資産運用は、実質的に借金をして得たお金を資産運用につぎ込んでいる状況と同じですから、ほどほどにしておきましょう、ということになります。

 最後に、では変動金利の返済額でも家計のやりくりはギリギリで貯金なんて全然できない、金利がほんの少しでも上がったら返済が不可能になる、という人はどうしたらいいかというと、身の丈に合ってない借金なので家を売ってでも返済してしまいましょう、としかアドバイスのしようはありません。

 また、金利上昇時にほんのちょっとでもローンが残っていると危険、ということは全くないのですが、不安の感じ方は人それぞれですから怖くて仕方ないという人はどうにもなりません。この場合は固定金利に借り換えをするか、あるいは同行内で固定金利への切り替えをいつでもできるようにしておく必要があります。これについては繰り上げ返済ではなく借り換えの話になりますので、次回改めて説明したいと思います。

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(イメージカット/鈴木愛子)