「身近な食材で、手早くできて、しかもおいしい」と三拍子そろった働く親思いのレシピで人気の料理研究家、上田淳子さん。双子の息子さん達が小さいころは食が細く、「これを食べさせたらごはんが食べられなくなるのでは?」とおやつにも気を使った経験があります。そんな上田さんが、お子さんのリクエストに応えてたびたび作ったのが、子どものための「しっかりプリン」。「しっかり」と言いつつも、舌の上でとろけるなめらかさです。
 このおいしさで、しかも上田さんは「お米をといで炊くくらい簡単」と言います。もしそれが本当なら、「プリンは買ってきたほうが早くておいしい」という思いを払拭できるかもしれません。早速作り方を教わりましょう。

「買ってくるより楽」が手作りおやつの基本姿勢

上田淳子さん(以下、敬称略) 今回ご紹介するのは、卵と砂糖と牛乳だけで作るプリンです。「子どものための」と呼んでいるのは、生クリームが入った濃厚でトロトロしたプリンとは違い、昔ながらの食感だからです。しかも、思い立ったときに家にあるもので作れます。

日経DUAL編集部 プリンって本当に子どもが大好きなおやつですよね! このプリンは上田さんが実際にお子さんのためによく作っていたものなんですか?

上田さんの「子どものためのしっかりプリン」
上田さんの「子どものためのしっかりプリン」

上田 そうなんです。子どもが小さいころは本当によく作っていました。とはいっても、18歳になった今も家に帰ってきて冷蔵庫を覗いてプリンが作ってあると、「お、プリンか!」とうれしそうに食べていますよ(笑)。おやつって、作り続けるのが大変なものではなく、「買いに行くより楽」というスタンスがいいと思うんですよ

―― 「買いに行くより楽」……つい、買ったほうが楽だと思ってしまいます。

上田 すぐ近くにコンビニがあれば、確かにそうなりますよね。でもね、砂糖と牛乳と卵はたいてい家にあるでしょう? 甘さも家で作るなら加減ができますし、手順そのものはとても簡単ですから、慣れればあっという間ですよ。

 では、まずカラメルソースを作りましょう。

―― いきなりここでつまずきそうです。焦がさないコツはあるのでしょうか?

上田 コツは砂糖をきちんと溶かすことです。最初は弱めの中火で、時折鍋を揺すりながら砂糖を溶かします。ちゃんとシロップになったところで、火を強めて焦がしていきます。

 2つ目のポイントは、怖がらずにしっかり焦がす

―― あ、焦げてきました! このくらいでしょうか?

上田 これではまだ、べっ甲あめです。カラメルソースは、ちゃんと焦がしたほうがおいしいですよ。カラメル液が泡立って、煙が出てくる……ここまでやってください。そして煙が出てきたところで水を入れて、火を止めます。

※次ページで、さらに詳しいレシピを紹介します。

「べっ甲あめ」から少しガマンして焦がしたところで、水を入れる。ジュッ!と派手な音がします
「べっ甲あめ」から少しガマンして焦がしたところで、水を入れる。ジュッ!と派手な音がします