少食だったのでおやつを与えない方法を考えていた

毎日手作りおやつではなかったから、よけいに手作りおやつの価値が上がったと、上田さん
毎日手作りおやつではなかったから、よけいに手作りおやつの価値が上がったと、上田さん

―― 今はさすがに、2人の息子さんからこのプリンのリクエストが出ることもないのですか?

上田 そうですね、「おやつ信仰」はなくなりましたね。そもそも、おやつの時間帯に家にいませんものね(笑)。やっぱりおやつが欲しいのって小学生くらいまでなのかなって思います。

―― では、小さいころに手作りおやつの思い出をたくさんつくっていたわけですね。

上田 うーん……でも、私があまり、おやつを食べさせたくないタイプだったんです。というのも、子ども達が2人とも食が細くて、好き嫌いもあったので、おやつを食べ過ぎると絶対にごはんに影響するでしょう? 

 どちらかというとデザートに引っ張ったほうです。おやつで甘いものを食べるよりは、食後のデザートとして食べたほうが、量もそれほど食べられないし、デザートにつられてごはんを食べるときもあるので。ご褒美に近かったかもしれないですね。

 たくさん食べる子だったら、おやつも気にせずに与えていたと思うんです。でも「ここでおやつを食べさせたら、この後のごはんを食べないかもしれない」と思うと必死でおやつを食べさせない方法を考えていた気はします。

―― しかも好き嫌いがあったのですね。

上田 うちの息子達は野菜があまり好きじゃありませんでしたし、プリンは好きだったのに、茶碗蒸しは大の苦手でした。理由は甘くないから。初めて食べたとき、びっくりして泣いていた記憶があります。がっかりしたみたいですよ。

―― かわいいですね(笑)。 

好き嫌いは大きくなると自然となくなる

―― 好き嫌いはどうやって克服したのですか?

上田 克服したというよりは、大きくなって自然となくなっていった感じです。

 双子のうちの1人はナスが嫌いだったんですが、今はもう嫌いでも何でもないんです。最近になって「どうして嫌いだったの?」と聞いてみたら、「怖かったんだよね、あの色が」って。面白いでしょう? 

 子どもが何かを嫌いな理由って、大人には分からないところにあることが多いんですよね。でも大きくなっていくと、ふと「なんで怖かったんだろう」「どうして食べられなかったんだろう」と思う瞬間が来るものです。そういう瞬間を逃さないように、今嫌いだからといって全く食卓に出さない、ということだけはしないようにしていました。

―― あの手この手で、苦手な食材も食卓に上げていたのですね?

上田 食事を楽しいと思えなくなるのはいやなので、絶対に無理強いはしませんでした。それに、すごく頑張ってみじん切りにしたり、すり下ろしたりして入れたって、敵は見つけるんですよね(笑)。

 ですから、ごく自然に大人が食べるかたちで出していました。私がおいしそうに食べていたら、横取りされたこともあるんです。あるとき、私は自分でバジルのパスタをどうしても食べたくなって作ったのですが、子どもにはトマトのパスタを用意したんです。絶対にバジルなんて食べないだろうと思ったので。そしたら「何それ?」って聞かれて、「葉っぱのスパゲティだよ」と言ったら、「ちょうだい」と言うので一口あげたところ「取り替えて」って。「ええっ」となったこともありました。よほど私がおいしそうに食べていたんでしょうね(笑)。