火を通しすぎないので柔らかく仕上がる

―― やはり、水を入れたときに盛大な音がするところが怖いですよね。

上田 最後に水を入れるのは、それ以上焦げないようにするための加熱止めの水です。そして、水を入れることでカラメルソースがゆるくなるのです。怖くてうまく入れられないという場合は、柄の長い鍋を使って水を入れるといいですよ

 音がやんだら、すぐにプリンの容器に均等に分けていきましょう。容器はプリン型でなくても、マグカップやお湯のみなど、何でも構わないですよ。

 カラメルソースを冷ます間に、プリン液を作ります。卵と砂糖をよく混ぜたところに、温めた牛乳を少しずつ入れます。それをこして、冷めて固まったカラメルソースの上に注ぎ、蒸していきます。

―― 見ていると本当にあっという間ですね。蒸し器ではなく、オーブンでもなく、鍋に直接入れるのですか?

「地獄蒸し」の準備中。火の当たりを和らげたいときには、底に1枚ふきんを敷いてからプリン型を並べるといいとのこと
「地獄蒸し」の準備中。火の当たりを和らげたいときには、底に1枚ふきんを敷いてからプリン型を並べるといいとのこと

上田 今回の作り方は、いわゆる「地獄蒸し」と呼ばれる方法です。卵は60℃くらいから固まる性質があるので、それを利用して、周囲の湯の熱でプリン液を固めていくのです。これだと、「す」が立ちにくくて柔らかく蒸し上がります

 型に入れたプリンそれぞれに、アルミ箔で蓋をします。そして大きめの深鍋に入れ、水をプリン液の高さまで入れます。中火にかけ、ゆるゆると加熱して、沸騰したら鍋の蓋をして、ごく弱火で1分、蒸したらすぐに火を止めます。そのまま15分ほど放置して粗熱を取り、あとは冷蔵庫で冷やすだけです(※詳しいレシピはページ下にあります)。

―― 放っておいて、失敗しにくいというのはうれしいですね。

上田 表面は少しプツプツと泡が見えますが、中は必要以上に火が入らないので、なめらかなはずですよ

―― 確かに! 卵の味がしっかりして、ものすごくなめらかで柔らかい! しかも、いったん沸騰したら蓋をして火を消して放置していればできる、というのは気楽です。

上田 そう、慣れてしまえばもう、お米を計ってといで炊くくらいの勢いで作れるようになるんです。カラメルを作るのが面倒だったり、やっぱり怖かったりするならば、チョコレートシロップやハチミツをかけてもいいわけです。

頑張って焦がしたカラメルソースがほろ苦く、プリンの甘さがいっそう引き立ちます。何より、生クリームが入っているかのようななめらかさ
頑張って焦がしたカラメルソースがほろ苦く、プリンの甘さがいっそう引き立ちます。何より、生クリームが入っているかのようななめらかさ

子どものためのしっかりプリン

●材料(口径7センチ、高さ5センチの型4個分)
卵 2個
砂糖 40g
牛乳 300ml

★カラメルソース
砂糖30g
水大さじ1

●作り方
1. 鍋にカラメルソースの砂糖を入れ、弱火にかける。砂糖が溶けてきたら、均一になるように時々混ぜる。茶色くなるまで煮詰めたら、水を加えて全体をなじませ熱いうちに型に注ぎ入れる。
2. ボウルに卵と砂糖を入れ、卵をしっかりほぐしながら混ぜ合わせる。
3. 牛乳を電子レンジで2分加熱し、2に少しずつ加え混ぜる。
4. 3をこし器でこしてから1に流し入れる。
5. アルミ箔でそれぞれ蓋をし、大きめの鍋に入れる。型の周りに水を注ぎ(プリン液と同じくらいの高さまで)、中火にかけ、沸騰したら鍋の蓋をしてごく弱火で1分加熱する。火を止めたらそのまま約15分置いて余熱で固まらせる。粗熱を取って冷蔵庫で冷やす。

※型の厚みによって火が通る時間に差が出ます。